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医師・医療関係者のみなさまへ

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時事
府医ニュース
2026年10月21日 第3159号
2026年4月財務省の諮問機関である財政制度等審議会(財政制度分科会)は医療分野の人材供給に関する審議において「大学医学部の定員を大胆に削減すべきだ」と提言した。その根拠は20年に厚生労働省が行なった医師需給推計で、人口減少が進む日本では現行の定員を維持すると29年~32年に医師の需給が均衡し、その後は過剰になると予測していることによる。厚労省も医師不足ではなく、偏在が本質的な問題との立場を維持し、財務省と歩調を合わせ医師養成数の抑制に向けた議論を進めている。
さて、必要な医師数を決めるのは単純に総人口だけで良いのだろうか? 日本の75歳以上の人口は40年頃まで増加し続け、その後も高水準で推移する。高齢者は受療率が高く、複数の慢性疾患を抱える患者も多い。女性医師の増加や医師の働き方改革は病院での医師の増員が必要となり、医療の高度化、大学の医師派遣機能の低下なども医師不足の原因となっている。今後、人口減少だけを理由に医療需要が減少するとは考えにくい。日本の病院医療は勤務医の当直業務などの長時間労働に依存して成立してきた。当直明けで翌日通常の日勤業務をこなし、そのまま深夜まで時間外勤務が当たり前であった。ちなみに当直は労働基準法では「原則としてほとんど労働のない待機」とみなされ、労働時間や残業規制の対象外として扱われている。「医師の健康と患者安全を守る」という観点からは当直を夜勤として扱い、通常の労働時間と同様にカウントし、その分シフトを分けて人員を増やす必要がある。定員削減とは真逆の方向性である。
ところで日本の医師数は本当に過剰なのだろうか? 日本の臨床医は「医療関連データの国際比較―OECD Health Statistics 2019―」によると人口1000人当たり2.4人であり、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均3.6人より低く、19年の統計ではOECD諸国36カ国中ワースト5である(24年の厚労省の統計によれば、24年では人口1000人当たり2.8人)。日本の高齢化率は加盟国で最も高い水準である。高齢化が進むイタリアやポルトガルでは医学部卒業生は日本の2倍以上であり、人口減少下でも医師養成の維持・拡大が進められている。日本の医療は崇高な理念を持ち、医師の自己犠牲の下、献身的に働く医師に支えられており、これによって日本の高い医療水準を維持しているのである。医師が不足すれば困るのは国民である。しかし、救急の現場ではたらい回しと言われ、非難を受けるのは医師である。開業医も地域の医療を守り、日々奮闘しているが、医師会は利権や利益を守る圧力団体とも言われる。
医学部を卒業し医師になってからも仕事ができるようになるには時間が必要である。減らした医師数をまた増やすためには時間を要する。将来の医療水準を維持するためにも医学部定員の削減は極めて慎重であるべきである。(孝)