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時の話題

認知度の低いケモブレイン(Chemo-Brain)

府医ニュース

2026年10月21日 第3159号

周囲の理解が必要

 ケモブレイン(Chemo-Brain)は、抗がん剤治療中、あるいは治療後に起こる物忘れ・集中力の低下・言葉が出にくいなどの一時的な認知機能の低下で、多くは半年から1年で回復する。アルツハイマー病などの認知症とは異なる。CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像化装置)では異常が確認されず、医師から「そんな副作用は聞いたことがない」「異常なし」と言われることもある。患者も「言っても仕方がない」「理解してもらえない」と思うことが多いようだ。発生頻度は17~70%と言われるが、詳しくは分かっていない。
 ケモブレインを引き起こす要因として、①がんの治療(抗がん剤投与、ホルモン療法、放射線療法、手術、免疫療法、骨髄移植)②がんの合併症(感染症、貧血、睡眠障害、更年期障害、痛みなど)③そのほか(遺伝的傾向、うつ病、不安、糖尿病、甲状腺疾患など)――が考えられている。発症しやすい抗がん剤はアルキル化剤(シクロホスファミド、メルファラン)、抗腫瘍性抗生物質(ドキソルビシン)、抗代謝薬(メトトレキサート、フルオロウラシル)、タキサン系(ドセタキシル、パクリタキセル)など。乳がんのホルモン療法でよく使用されるタモキシフェンもよく症状を引き起こし、「タモブレイン」とも言われる。治療の終了やほかの薬剤に変更することで症状の改善もある。多くは半年から1年程度で回復し、1年以上症状が続く場合は、そのまま残ることもある。
 このような症状が出た時は、医師への相談はもちろん、家族や会社の同僚・上司、友人に伝え、理解を得ることが必要だ。メモやスケジュール管理を行い記憶の補助とする。同時にいくつかの業務をこなすことは、日頃はできていてもできなくなっていることがある。仕事内容の変更も必要だ。日常生活を規則正しくし、十分な睡眠をとり、必要であれば認知行動療法などの不眠治療を行うことが大切となる。
 ケモブレインが現れた場合は、患者は「言っても無駄」「理解されない」と思わずに、積極的に発信することが大切である。周囲の協力や支援を得られると、うつ病との悪循環の鎖が断ち切られることにつながる。