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時事

医療的ケア児支援法が大幅改正

府医ニュース

2026年10月7日 第3158号

対象拡大と地域体制強化で切れ目ない支援を

 令和8年7月24日、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(医療的ケア児支援法)」改正案が全会一致で可決された。3年に制定された本法律により医療的ケア児が保育園や学校に通いやすくなるなど18歳未満の児童に対する支援が徐々に整った一方で、成人期への移行時に支援が途切れる問題や、重症心身障害者への支援体制の不足、レスパイト・就労支援等の支援施策の充実、地域によるサービス格差などが顕在化したことを背景としている。医療的ケアを必要とする子どもが成長しても、保健・医療・福祉サービスを継続的に受け、地域で生活できるようにすることが、改正の中心的な理念となる。
 改正法では支援対象が拡大され「医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律」となる。医療的ケアを必要とする成人や、重度の知的障害と肢体不自由が重複する重症心身障害者も支援の枠組みに含まれ、ライフステージを通じた一貫した支援体制が制度上明確化された。これにより在宅人工呼吸器管理や経管栄養など恒常的な医療的ケアを要する者が、年齢にかかわらず地域で生活を継続できるよう医療・福祉・教育の連携が求められる。
 保育・教育領域では、喀痰吸引などを行うことができる介護従事者の配置が制度上位置付けられ、保護者の付き添いがなくても学校生活を送れる体制整備が促される。社会的養護体制の拡充や生涯学習の推進も規定され、年齢に応じた学びを継続できる環境づくりが進む。
 生活支援ではレスパイト、通学支援、切れ目のない医療の提供、就労支援、住居確保、ピアサポートへの支援などが拡充され、家族の負担軽減と本人の社会参加を両立させる方向性が示された。地域体制の整備として従来の医療的ケア児支援センターは「医療的ケア児等支援センター」へと改称され、都道府県に加え指定都市・中核市・特別区でも設置が可能となった。センターは、相談支援や関係機関との連絡調整、研修、人材育成に加え、災害時の情報提供や個別避難計画の作成支援など、より広範な役割を担う。
 さらに、新たに「医療的ケア児等支援地域協議会」が制度化され、保健所、医療機関、訪問看護、障害児通所支援、学校など、多職種が参画し地域の支援体制の課題を共有しながら資源開発や体制整備を協議する仕組みが設けられた。
 今回の改正は、医療的ケア児等が尊厳を持って地域で生活し、成長していくための制度的基盤を整えるものである。医療機関は、地域協議会への参画やセンターとの連携を通じ医療的ケア児等の生活を支える多職種連携の一端を担うことになる。施行は9年4月1日であり、地域体制の整備は今後数年にわたり段階的に進む。制度改正を踏まえた支援の再構築が求められる。(昌)