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府医ニュース
2026年10月7日 第3158号
近畿医師会連合(今期委員長=松井道宣・京都府医師会長)は9月6日、京都市内のホテルで令和8年度定時委員総会を開催。常任委員会および総会が行われ、国民皆保険制度の堅持と医療提供体制の発展に向けた決議を採択した。午後には、「医療保険」「地域医療」「勤務医」に関する分科会を実施。各府県医師会役員らが意見を交わした。
委員総会では、禹満・京都府医師会副会長が開会の辞を述べ、松井委員長があいさつ。世界各地で相次ぐ自然災害に触れ、医師会として被害を最小にとどめるための対策を講じていくことが喫緊の課題だとした。また、会員増強が大きなテーマとなっている一方、近畿ブロックには勤務医部会を設置する医師会が少ないと言及。今後を担う若手医師とのつながり方に関して、活発な議論が展開することに期待を寄せた。
次いで、澤芳樹・第32回日本医学会総会2027会頭(大阪府医師会副会長)が登壇し、総会プログラムや見所などを紹介。医師会と医学会が両輪となり、日本の医学の向上の一役となる総会にしたいと語り、一層の支援と事前登録を呼びかけた。
続いて、前期主務地の平石英三・和歌山県医師会長があいさつに立った。前期中における日本医師会執行部の地道な国政への働きかけを評するとともに、松本吉郎・日医会長による新執行部が全面的な信頼を受け無投票で誕生したことを挙げ、当連合会の当番県としての役目が無事に果たせたと振り返った。
引き続き、松井委員長より役員の選任を報告。加納康至・府医会長が副委員長に就任した(任期は9年6月30日まで)。西脇隆俊・京都府知事(鈴木一弥副知事が代読)と松井孝治・京都市長より祝辞が述べられ、報告・議事に移った。
和歌山県医師会が、7年度近医連会務を報告し、▽7年度歳入歳出決算▽8年度事業計画▽同年度収支予算――に関する件を議題に提示。加納・前期監事(府医会長)は、7年度決算の適切な処理を伝え、拍手多数にてすべて承認された。その後、京都府医師会が、各府県の保険担当理事による協議を経て、先に行われた常任委員会で承認を得ているとした上で決議を提案。将来にわたり国民皆保険制度を堅持し、医療提供体制を維持・発展させるといった観点で検討を重ねたと説明し、満場一致で採択された。
最後に、次期主務地として加納会長があいさつに立ち、次期は9年9月5日に、大阪市内のホテルで開催する運びと案内。さらなる協力を求めた。
八木透氏(佛教大学名誉教授/世界鬼学会長)が、「鬼・疫病・異人――排除と差別の伝承世界」と題して講演した。古くから飢饉や疫病、人の心に潜む邪悪さを鬼と捉えてきたことから、人間にとって「目に見えないもの」が最も怖いと説明。一般的な鬼のイメージとして般若の面を引き合いに、目に見えない怖さを「見える化」することで恐怖と戦ってきたと説示した。新型コロナのパンデミック時に、ウイルス画像が繰り返し使用されたこととの類似性を指摘し、具体的な敵を定めて戦うための工夫だと考察。他方で、「外から来る異形のもの」も鬼とされる傾向があり、排除の対象となる例が多いと加え、鬼を「異人」とする視座は、差別問題に直結すると警鐘を鳴らした。
【委員長】
松井 道宣・京都府医師会長
【副委員長】
加納 康至・大阪府医師会長
禹 満・京都府医師会副会長
【常任委員】
髙橋健太郎・滋賀県医師会長
安東 範明・奈良県医師会長
【監事】
八田 昌樹・兵庫県医師会長
平石 英三・和歌山県医師会長
我が国の社会保障制度は、世界に誇れる国民皆保険制度を根幹としており、国民相互の支え合いの精神と先人たちの不断の努力によって築かれてきた社会基盤である。
しかしながら、急速な少子高齢化、医療技術の革新、物価高騰、地域医療を担う人材不足など、医療を取り巻く環境は大きく変化しており、社会保障の給付と負担の議論は、避けて通れない重要な課題である。一方で、現役世代の保険料負担軽減に向けて、一部保険外療養の導入によるOTC類似薬の保険給付の見直し、高齢者医療費窓口負担の原則3割への引き上げ、社会保障負担率の目標設定等の議論が国民に十分説明されないままに進められている。政府は、中長期的な展望を踏まえた制度の現状、財政状況、改革の必要性について丁寧かつわかりやすく説明し、国民の理解を得る責務を果たさなければならない。
我々は現在の給付水準を維持する必要があると考えている。そのためには世代や地域の立場を超えた国民的議論を展開し、国民自らが我が国の社会保障の在り方を考える機会を確保することが不可欠である。
今後、医療・介護の複合ニーズを抱えた高齢者を支えていくためには、医療機関の役割分担を明確化し、連携と機能分化を進めていかなければならない。なお、生産年齢人口が激減する中で国民の生活を支え地域完結型の医療提供体制を整備するには、診療行為に対する材料や設備などのコストと人件費が正当に評価されるべきであり、診療報酬の在り方についても見直す時期に来ている。
将来にわたって国民皆保険制度と医療提供体制を守るために、以下を強く要望する。
記
一、国民皆保険制度を将来にわたり堅持するため、必要かつ適切な医療は保険診療により確保するとともに、世代内・世代間の公平性に配慮しつつ、給付と負担の在り方については、政府からの丁寧な制度説明と国民的議論の展開を求める。
一、物価高騰・賃金上昇への対応と、今後の医療提供体制のさらなる発展に寄与する診療報酬の在り方についての再考を求める。
以上、決議する。
令和8年9月6日
近畿医師会連合定時委員総会