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時事
府医ニュース
2026年9月30日 第3157号
9月10日、厚生労働省社会保障審議会の介護給付費分科会が開催され、令和9年度介護報酬改定に向けた関係団体等意見交換会の1回目が「介護系居宅サービス等」をテーマに実施された。参加12団体のうち、認知症当事者が中心となった団体からも意見が表明された。介護報酬改定に際し、認知症本人当事者から意見を聞くのは初めてである。
「私たちは認知症になってからもできることやりたいことがあり、地域の仲間とともに希望を持って自分らしく暮らし続けています」から始まる資料では、3点の意見が提示されている。
▽画一的ではなく、本人の声を十分に聞き、本人が個性と能力を生かして自分らしく暮らし続けるための個別のサービス提供を切望▽そのための話し合いに必要な時間や手間を考慮した介護報酬になっていないため、赤字覚悟、やりたくてもできないなど残念な事態が多くみられる▽介護支援専門員による、認知症本人の〝声を十分に聞き納得した利用につながる支援〟に対し、相応の評価・報酬が必要――。
▽介護サービスを利用しながら働き続けたい、外出を続けたい、新しい認知症観の普及活動をしたい、ピアサポートをしたいとの意向を持つ本人達が増えている▽そのための移動支援や同行支援等を積極的に行う介護支援専門員や介護事業所も増えている。また、働きたい本人を雇用したり、本人とともにピアサポート事業を推進する介護事業所も増えつつある▽このような支援に対して相応の評価・報酬が必要――。
▽認定調査の調査項目が、古い認知症観に立った内容や表現のままであり、傷付いたり、見えにくい障害が反映されずに見合った認定やサービスが受けられず、苦悩している本人が多い▽「共生社会の実現を推進するための基本法」の目的や理念に基づいて認定調査のアップデートを本人とともに進めてほしい――。
高齢化のさらなる進展に伴い、認知症患者数は今後も増加の見通しである。疾患修飾薬(抗Aβ抗体薬)の普及により、いわゆる掘り起こしが進む一方で、治療対象外となった人への支援も課題となっている。認知症・MCIの人とともに、どのような社会を、どのように、本人当事者の参画を得ながら作っていくかが問われている。それは〝誰にとっても優しい社会〟への普遍性を有する問題でもある。
ただし――。当初の意図や目的を、コスト面もクリアして【現場で無理なく受け入れられる施策に落とし込むこと】は一筋縄ではいかない。現に、介護報酬における認知症対応力強化を目指した各種加算は、要件のハードルの高さ故、算定率が極めて低いことが明らかになっている。身近な領域でも、医療DXをはじめ、高額療養費制度の見直し、OTC類似薬の保険給付の見直し、ベースアップ評価料、などなど、多くの場面で身に染みているところである。(学)