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時事
府医ニュース
2026年9月16日 第3156号
令和8年8月26日に中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会が開催され、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)の3団体による米国の最恵国待遇(MFN)価格政策が及ぼしている日本における医薬品開発・上市判断への影響についての意見陳述と質疑が行われた。
まず、研究開発・治験・生産・市場環境を一体的に強化し、創薬エコシステムを好循環させることの重要性を示し、創薬力強化・魅力的な市場形成に向けた政策の流れ、8年度薬価制度改革骨子に示された米国MFN価格政策への「機動的対応」の方針を踏まえ、革新的医薬品を確実に患者へ届けるために必要な制度対応の議論を求めた。なお、以上については7月10日の「創薬力向上のための官民協議会」での高市早苗首相の発言や、同月21日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2026」において認められる。革新的医薬品は患者の治療環境の改善・治療選択肢の拡大に寄与しており、実績は医師から見た治療満足度と薬剤貢献度調査(6年度)においても示されている。
一方、現行薬価制度の課題には、革新的新薬の価値が適切に評価されない場合もあり、収載時におけるイノベーション評価を強化し、新薬の価値をより適切に薬価へ反映できる仕組みが必要である。また、市場拡大再算定や持続可能性特例価格調整などにより、特許期間中に大幅に価格が引き下げられ、新薬の継続的な開発・導入にも影響を及ぼす可能性がある。さらに、国際環境の変化への対応も必要となっており、各国が創薬への投資を加速する中、日本が研究開発投資や新薬上市の優先国として選ばれ続けるための魅力ある市場環境整備が一層重要となっているが、医薬品の最大市場である米国が他国の価格を参照し始め、日本を含む参照国の薬価が、当該国だけでなく、国際的な位置付けを強く持つようになってきている。
MFN価格政策は米国で導入された外国価格参照方式で、高所得国間での価格の均衡を目的に、日本を含む参照国の価格水準を踏まえて、米国価格が上市時のみならず、市販後にも調整される。医薬品市場の国際比較では、革新的医薬品による収益はその3分の2を米国に依存し(米国67%、日本6%)、米国価格はGDP―PPP調整を経てもなお他の参照国より高い水準にあり、メディケイドネット価格を100とした場合の日本の価格は約50との報告もある。
PhRMAが7月、PhRMA JAPANの薬価委員会加盟全15社を対象に、米国MFN価格政策を巡る国内法人の状況調査を行い、回収率100%であった。▽米国のMFN政策の影響を受けて、すでに3分の2の企業で、個別製品の日本における収載・上市に関する具体的な協議がグローバル本社と開始されていた▽日本での上市実現に当たり、米国価格に影響を与えない水準の薬価の取得が求められており、米国価格との乖離が大きい場合には、日本での薬価収載や上市を断念せざるを得ない方向性が示唆されていた▽米国MFN政策は、日本国内での新薬開発活動にも影響を与え始めており、すでに国内開発の見送りや遅延が決定された製品がある――ことも確認された。
製薬3団体が求めている9年度薬価改定について、▽特許期間中の製品に対する薬価引き下げは行わないこと▽市場実勢価と連動しない薬価引き下げルールは実施しないこと、および機動的対応として米国のMFN価格政策を踏まえ、必要な薬価上の対応を早急に検討・実行すること――は看過できない重要課題である。(中)