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府医ニュース

2026年9月2日 第3155号

 ◆「朝三暮四」は、中国の古典『列子』に登場する寓話である。猿使いが「朝に三つ、夕に四つの木の実をやろう」と言うと猿達は怒った。そこで「朝に四つ、夕に三つにしよう」と告げると喜んだという。結局、受け取る木の実の数は同じである。
 ◆人は案外、総量よりも見せ方に左右される。数字そのものより切り取り方に反応してしまう。二千年以上前の寓話が語り継がれるのも、その滑稽さが現代にも通じるからだろう。
 ◆社会保障を巡る議論にも似た構図がある。高齢者が得をしている、若者が損をしている。世代間の不公平が強調され、負担増や給付削減が改革として語られる。
 ◆朝三暮四は配り方が変わっただけで総量は変わらない。現実の社会保障改革では、自己負担の引き上げや給付抑制によって、配られる木の実そのものが減っている。もはや朝三暮四どころの話ではない。
 ◆猿を笑うのはたやすい。だが数字の見せ方に惑わされ、本質を見失う危うさは、私達にも無縁ではない。問うべきは数字ではなく、社会のあり方なのである。(今)