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医師・医療関係者のみなさまへ

令和8年熊本地震

府医ニュース

2026年9月2日 第3155号

「JMAT大阪」先発隊が出動

 7月28日午後4時27分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。宇城市・氷川町で震度7、宇城市と八代市では、長周期地震動階級4を観測し、有明海・八代海には津波注意報が発表された。内閣府は同日、「多数の者が生命または身体に危害を受け、または受けるおそれが生じている」とし、熊本県内10市10町1村に災害救助法の適用を決定した。

 日本医師会は発災同日、直ちに災害対策本部(本部長=松本吉郎・日医会長)を設置。29日には第1回災害対策本部会議を開催し、熊本県医師会が被害状況を報告した。日医へ「JMAT(日医災害医療チーム)」の派遣が要請され、福岡県医師会が組織するJMAT先遣隊が現地入り。30日には熊本県庁内にJMAT調整本部を設置し、翌31日、全国の都道府県医師会に派遣を要請した。以降は、連日ウェブ会議が行われ、全国の都道府県医師会と状況や課題が共有された。
 大阪府医師会では、28日付で対策本部(本部長=加納康至・府医会長)を設置。日医のウェブ会議には、三上聡司理事が参加した。会議での情報を踏まえて協議を重ね、2泊3日の帯でJMAT大阪の派遣を決定。清水智之理事、三上理事、山原大輝氏(岸和田市薬剤師会長)、貝谷恵美子氏(医療法人弘道会看護師)、府医事務局2人で編成された先発隊は、8月12日から3泊4日の日程で出動し、弘道会のチームに引き継いだ。
 なお、18日に開催された第3回災害対策本部会議において、インフラ整備の回復や避難所の統廃合に伴い、医療支援ニーズが収束・変化したとし、以降の派遣については、▽なるべく多くの医師会が被災地での医療活動を経験できるよう、九州ブロック以外の都道府県医師会による派遣体制を再構築▽現場の需要に応じた「細く長い」支援フェーズへ移行▽新規の派遣希望は待機――することが決定。松本・日医会長からは、「現場の需要に合わせて数を調整しながら派遣を継続する」との方針が示された。これを受け、府医からの派遣は8月23日で終了することが決まり、9月16日までの派遣日程を中止した。

大阪の先発隊による熊本での活動

■1日目 先遣隊活動

 熊本市に入った先発隊は、熊本県医師会を訪問し、金澤知徳・熊本県医師会副会長、平塚慶一郎・同事務局長に現状把握を行った。その後、同県庁内に設置されたJMAT調整本部で登録。JMAT調整八代地域本部(八代保健所)にて、八代北部地域医療センターでの病院支援を命じられた。看護師が常時不足している旨が伝えられ、連絡手段は通信アプリLINEが中心となり、JMAT大阪においてもLINEグループを作成。情報共有や、次の隊への引き継ぎに活用した。

■2~4日目 通常活動

 2日目には、藤原慶正・日医常任理事の視察を受けた。DMATや他県のJMATから申し送りを受け、清水理事が統括業務、病院支援として、三上理事は外来、貝谷氏が病棟、山原氏と事務局員が患者受付やロジスティクスを担当。「来院患者受付」「処方箋の記載内容確認」「カルテ作成準備」が主な業務だ。看護師は慢性的に10人程度の不足状態が継続。13日には発熱患者の増加により待機室などが必要となった。

大阪を受援側とした仕組みづくりも課題

 令和6年発生の能登半島地震でもJMAT大阪として避難所を中心に医療支援を行った清水理事は、今回の支援活動が当時と異なった点に触れ、支援には定型がないと指摘。今後の課題として、「大阪が被災地になった際に、受援側としてどのように動けば良いのか整理をする必要がある」と語る。今後は、南海トラフ地震を見据えた、支援者・受援者が円滑に連携できるシステム作りを考える上で、被災地に派遣されてきたJMATをいかに受け入れ、現場に配置していく想定も必要だと示した。
 府医は引き続き、ついつい「大丈夫」と言ってしまいがちな被災地の心情を思いやりつつ、状況を把握しながら支援を続けていく。

三上理事 外来対応

 外来に入って特に忙しかったのは、初めの2日間。外傷処置が多く、13日に30人強、14日に20人強の患者に対応した。13日は現地入りしている医師が少なかったこともあり慌ただしかったが、14日以降は医師の数が揃ってきたため、患者数に比べて医師が比較的多い状況だった。一方で、看護師は食事・入浴介助なども含めて業務量が多いことから、常に不足状態。JMATの派遣数が増やされたのも看護師不足を補うことが大きな目的で、医師が食事介助などを担当するケースもあった。

清水理事 統括業務

 給水車の配備が始まり、当初多かった「水がないから診療できない」という診療所が、制限はあるものの診療ができる状態となったことや、日本赤十字社のチームが中心となって避難所を回ったため、JMATへの医療ニーズがそれほど多くなかった。とは言え、現場によっては人員不足の場合もあり、数の多さを強みとするJMATに対するニーズは引き続きあると考える。今後は、被災地JMATを中心に、九州ブロックや派遣に不慣れな地域から現地入りし、経験を積むことが求められる。
 特に看護師は、欠勤や欠員の影響や長く車中泊をしている場合もあり、負担が大きく、慢性的に人員不足だ。また、現場では給水作業や書類整理など、医療以外の支援が必要な場合が多い。隊員には、想定していた業務以外も柔軟に引き受ける姿勢が重要だ。