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府医ニュース
2026年8月26日 第3154号
今年は、最高気温40℃以上を「酷暑日」と呼ぶようになって初めての夏だった。
25℃以上は夏日、30℃以上は真夏日、35℃以上は猛暑日。そして、そのさらに上をいく40℃以上が酷暑日。〝今日も酷暑日だった〟というニュースを見聞きすると、かき氷さえあっという間に溶けてしまいそうな暑さが思い浮かぶ。
そんな夏の風物詩、かき氷についての記述を振り返ると、平安時代までさかのぼる。清少納言は『枕草子』の「あてなるもの(上品なもの)」の段で、「削り氷(けずりひ)にあまづら入れて、あたらしき金碗(かなまり)に入れたる」。削った氷に「あまづら」という植物由来の甘味料をかけ、新しい金属の器に盛り付けた様子は、現代のかき氷を思わせる情景だ。当時、氷は冬に切り出して氷室に保存される貴重品であり、口にできたのはごく限られた人々だけだった。千年前の貴族が憧れた一椀の削り氷。『源氏物語』の現代語訳でも著名な作家、円地文子も、好きなものとして氷のエッセイを残している。苺、レモン、あずき、汁粉など色々な氷水。「氷のなめらかに清澄で見る間に形の変って行く視覚的な美しさと、口にふくんだ時の冷たさの快感は形容できないほどたのしい」と綴っている。
しかし、かつて「涼」を愛でた季節は、今や命を守る暑さと向き合う季節でもある。それでも、厳しい暑さだからこそ、一口のかき氷にほっと心がほどける瞬間、涼を楽しむ心のゆとりを大切にしたい。(颯)