TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

本日休診

花よりタンゴ

府医ニュース

2026年8月19日 第3153号

 今年6月、大阪・新歌舞伎座にて、こまつ座第158回公演「花よりタンゴ」を観ました(作:井上ひさし、演出:栗山民也、『こまつ座』というのは、井上ひさし氏作の戯曲のみを上演する制作集団です)。
 時は昭和22年、場所は東京・銀座。戦争で何もかも失った元華族の四姉妹が、生活のためにダンスホールを経営しています。タンゴを踊るのが売りのダンスホールです。
 歌やダンスがふんだんに盛り込まれて、舞台は明るいですが、ダンスホールの経営はうまくいっていません。そこへ、戦前はこの姉妹の家の使用人で今は闇成金となっている金太郎がやってきて、その場所を買い取り、進駐軍相手のみやげ物屋にし、姉妹を売り子として雇うと言います。姉妹はその話を断りますが、金策は尽きてしまっています。
 そうこうするうち、金太郎が全財産を強盗集団に奪われて、元雇主である姉妹のところに転がり込んできます。しかし、ダンスホールが入っている建物全体が進駐軍に接収されることが決まりました。
 接収されたら、その翌日から、この人達はどうやって生きていくのか?よくあるドラマやお芝居なら、何らかの希望らしいものを示して終わると思います。しかし、このお芝居では、何の解決策も示されません。それなのにこの人達は、「みんなで力を合わせて生きていけばきっと何とかなる!」と言って笑っています。不思議に明るく幕が下りました。それで良いのか?と思いましたが、また、それしかないとも思いました。
 様々な問題に明らかな即効する解決策がなくとも生きていかなくてはならないのは、いつの時代も同じです。(瞳)