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府医ニュース
2026年8月19日 第3153号
松本吉郎・日本医師会長は、「骨太の方針2026」の原案に「マクロ的な社会保障負担率の目標について検討を進める」と記載されたことを受け、「過度の抑制は医療崩壊を招くとして危惧し、反対する」との考えを述べた。現役世代の保険料率を引き下げるため、野党の主張によりマクロ経済スライドの導入を原案に書かれた経緯がある。
財務省の資料によると、日本の2021年度国民負担率48.1%(租税負担率28.9%+社会保障負担率19.2%)は、OECD加盟36カ国中22位で、真ん中あたりである。ルクセンブルク86.8%が1位で、2位のフランスは68.0%、3位のデンマークは65.1%である。日本より下には、英国47.6%、カナダ45.6%、米国33.9%が続く。1980年代以降、各国横ばい傾向である。日本は元々低い水準であったが、2010年以降上昇に転じている。高福祉のルクセンブルクでは医療費は無料である。アメリカは「小さな政府」であり、医療に関しては格差が大きいことが問題である。
租税負担率は、消費税が新規導入された1989年度に20.4%の最大値をつけたが、一時は低下し、2010年度頃から徐々に上昇し23年度には27.6%をつけた。しかし、この数字はOECD加盟34カ国中28位で、国際比較では低い。
G7(日本、英国、ドイツ、イタリア、フランス、米国、カナダ)の社会保障負担率は国民負担率の経年の動きと同様で、1980年代までは上昇したがその後はほぼ横ばいで推移している。他方、日本と韓国は、ほぼ一貫して経年的に右肩上がりで上昇している。2020年度は名目GDP(市場価格で計算され、物価変動の影響を含む)が、前年度比マイナス3.1%であり、その時の社会保障負担率は19.4%であったが、それ以降の名目GDPの前年度比が、21年度(3.5%)、22年度(2.0%)、23年度(5.3%)、24年度(3.0%)、25年度(4.5%)と伸びており、26年度の社会保障負担率は17.6%となる見通しである。社会保障負担率のうち年金などを除く医療給付費の対GDP比は、26年度の予算ベースで6.4%である。22年度のOECD加盟38カ国の平均の社会保障負担率8.8%に対し、日本は13.3%で上から8番目で比較的高い。
ある野党は数値目標として、社会保障負担率は30年代半ばの早い時期に16%台に、医療給付費の対GDP比は5%台に引き下げるべきと主張している。医療費は、自然増、人口の高齢化、医療の高度化がある中で、自然と伸びていくものである。その目標の数字の根拠も不明な中、負担率にキャップを被せる考え方には賛同できない。