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医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2026年8月5日 第3152号
6月18日、2期目となる加納康至・大阪府医師会執行部がスタートした。令和8年度診療報酬改定による影響や2040年を見据えた地域医療提供体制の議論が進む中、今期の課題や取り組みについて、本紙編集委員会の今井真委員長・大平真司広報担当理事が聞いた。
大平 まずは、第1期を振り返ってご感想をいただけますか。
加納 ご承知のとおり、第1期は、任期の途中に故中尾正俊先生の後を引き継ぎ、急な形で会長を拝命しましたので、戸惑うことも多くありました。しかし、中尾先生が会長に就任される時から、執行部が一丸となって会務運営に取り組むために、ともに様々なビジョンを共有していましたので、ある程度のイメージはありました。その遺志を引き継ぎ、私なりに全身全霊で取り組んできました。引き続き、事業を深化させていきます。
大平 前期は新しい取り組みが開始しました。
加納 はい。まず、病院協会と非常に緊密な連携が取れました。今後を考える上でも大きな成果です。8年度診療報酬改定に際しては、昨年10月に大阪府下5医療団体が揃って医療業界の窮状を訴える合同記者会見を開きました。全国各地で様々な団体が声を上げ、私達の地道な訴えが、プラス改定につながったものだと思います。
大平 今回の改定では、大幅なプラス改定となりました。
加納 しかし、まだ十分とは言えません。例えばベースアップ評価料のように、医療機関自体が施設基準を満たし、事前申請しないと算定できない仕組みになったものも多く、診療行為は同じでも評価が異なるため、やりづらさを感じる設えも目立ちます。日本医師会が夏以降に8年度改定の効果測定を行う予定ですので、府医から現場の声をしっかりと届ける次第です。
今井 現場では、特に個人開業の先生方から、各種届け出や事前申請の多さに困惑する声が多く寄せられています。レセプト点検や労務管理などは、基本的に診療後のルーチン作業です。加えて、さらに事務作業が増え、提出しなければならないことは分かっていても、なかなか手が回らないという実情もあります。
大平 うっかり期限が来てしまって諦めるとか、書類が不備のまま期限切れになるというパターンもあります。
加納 作業の煩雑さや各種申請の類似性など、手続きが円滑に進まない要素が多く、会員の皆様にとって有益な情報提供も考えていかねばなりません。
今井 ベースアップ評価料は、患者さんからすると、自分が受けた医療行為そのものに対する支払いではないので、窓口での説明も結構大変です。スムーズに納得いただける広報も大切だと感じます。
加納 そうですね。政治的な場面での働きかけも大切ですが、医療を受ける側の国民からの理解があってこそ、今後の医療提供体制が構築できます。そういった機運醸成につながる広報展開をともに進めましょう。
大平 生活習慣病管理料も不満が多いです。
加納 こちらもベースアップ評価料と同様、医師会として算定を推奨している項目ですが、事務負担や患者さんへの説明が増えても、医療機関として収益は増えないとの声が多く上がっています。
今井 その中でも、「充実管理加算(1~3)」へと名称変更された、いわゆる「データ提出加算」は気になる制度です。生活習慣病の診療目的は患者さんの生活習慣の改善です。にもかかわらず、データ提供の要件化で、診療や指導よりも提出データに気が取られがちになる傾向はあると思います。実績値によって点数が変動する仕組みとなったことで、診療内容よりも算定実績が意識されるようになるのではないかと懸念しています。また、データ提出には電子レセプトの外部事業者による技術的対応が事実上必要となり、医療DXへの対応を前提とした制度設計になっていると感じます。
加納 現場の負担がさらに増えるのは困ります。すべての医師が現状のままで医療行為が続けられてこそ、地域医療が持続可能です。府医でも、そのような現場の声を集め、日医を通じて訴え続けなければなりません。
大平 かかりつけ医機能報告制度の初回の報告では、大阪の報告率が全国平均を上回る、8割以上の医療機関が報告を行いました。日医をはじめ大阪府内の各郡市区等医師会が周知に努めた結果です。
加納 おかげさまで大阪は高い報告率でした。報告が義務付けられるのが嫌だとおっしゃる先生方もおられますが、開始から5年後の制度の見直し時に、かかりつけ医機能を持っている医療機関が少なければ、かかりつけ医の登録制や人頭払いといった規制的な制度化が進む懸念があります。特別なことは必要ありません。現状の報告をするだけですので、来年も忘れずに報告をお願いします。
今井 広報を担う委員会の立場から、医師の団結力の高さをアピールする機会にもなるのではないかと思います。「報告しないと、5年後に怖いことが起きかねません」と言うよりも、「規制的な制度にならないようみんなで一致団結しましょう」という側面を大きく打ち出すのも、良い動機付けではないでしょうか。同じ取り組みでも前向きな感じで、一体感も増すのではと思います。
加納 みんなで団結して、規制的な制度化を阻止するといった視点は、組織力強化からも良い捉え方ですね。今年度も、我々の報告率の高さで団結力を見せたいですね。
大平 会員の皆様が、より前向きな視点を持って取り組んでいただけるように周知も工夫してまいります。
大平 引き続き、病院協会とも連携を密に取っていきますね。
加納 はい。先日、病院協会との今年度1回目の合同懇談会を開催しました。今回は初めて大阪府行政も交えました。府では、第8次医療計画を「大阪アプローチ」で進めていますが、当日は、2040年を見据えた新たな地域医療構想においても、国が示す検討の基準に加え、大阪独自の課題を入れて検討している状況が説明され、意見交換も行いました。私達の声がより反映されるよう、発言や提言を続けます。立場は違っても、大阪の医療を守るという使命は共通しますので、地域医療をオール大阪で支えます。また、多くの郡市区医師会が進める「在宅医療に必要な連携を担う拠点」の取り組みへのサポートも重要と考えます。
大平 そうですね。当事業の開始から3年目ですが、ほかの地域での取り組み状況の共有も大切ですよね。
加納 好事例は参考になりますし、ほかの地域が抱える課題を知ることで共感もできると思います。どちらも、大阪の医療提供体制を構築していく上で大切な現状把握です。
今井 各地の事例共有にとどまらず、地域課題の解決に生かされるよう、本紙でも伝えていきたいですね。
加納 府医の広報活動では、公式キャラクターらっふぃ~や公式Xを活用し、医師会や健康などに対する理解促進を図っています。親しみを持ってもらえたら嬉しいですね。
大平 はい。Xは、運用開始から、約1年が経過しました。府医の研修会やイベントのほか、季節に応じた健康啓発など、府医の取り組みを毎日コツコツ投稿しています。この春、子育てに関するイベントにブースを出展した際には、多くの親子連れと触れ合ったのですが、子ども達を中心に、らっふぃ~が非常に受けていました。
加納 常々、府民・国民に医師会の取り組みをもっと知ってほしいと思っていて、有事の時だけではなく、平時の地道な取り組みや頑張りが伝わる広報展開を期待しています。
大平 府医ニュースは、団体の顔として、全国の医師会や行政関係団体などにも送付していますので、府医のメッセージが読み取れる信頼性ある紙面づくりに配慮しています。
今井 専門性に加えて、読者である会員の皆様が、「自分達の思いを汲み取ってくれている」と感じていただけるような、現場の温度感なども大切にしてまいります。
大平 今年の新春互礼会で、「会員数の増加をはじめ組織強化に努めたい」とおっしゃっていましたね。
加納 はい。現場の声を中央に届けるには、組織力が不可欠です。組織強化は今年度特に力を入れている一つです。入会促進に向け、未入会理由の分析や、入会の価値に関する分かりやすい説明、興味を引く広報など、様々な角度から検討しているところです。府医事務局には11の部門があって、すべて何らかの形で会員サービスに携わっています。部門間で協力し、各課の得意分野に役割分担をすることは有意義だと考え、課を横断し、若手職員が中心となって進めています。
今井 自分達が中心を担う将来の医師会に向けた取り組みですね。
加納 日常業務を踏まえて会員サービスについて考えることは、日々の取り組みに良い影響を与えると考えます。今後の医師会について、役員・職員みんなで組織的に話し合うことは大切ですね。
大平 事務局の組織改革を進めて、縦も横もきちんとつながって。
加納 はい。この2年間で、事務局の運営が大きく変わりました。組織内部に変革を起こすことはなかなか骨が折れることでしたが、雰囲気の違いを感じられた方も多いのではないかと思います。
今井 職員が生き生きと業務に当たることが、会員サービスの向上につながりますし、風通しの良い組織づくりが進めば、新たな向上心や好奇心も生まれ、組織全体の活性化につながりますね。
加納 今年度はAIを段階的に導入していきますので、適宜活用ししながら効率的に業務を進めることで、時間的な余裕が生まれるでしょう。人が考えた方が良い部分をより大切にすることで、ご指摘の、より質の高い会員サービスを生むのではないでしょうか。対外的には、茂松茂人・日医副会長(府医理事)を中心とした日医との連携や、今回新任された4人の理事にも新たな展開を期待しています。地域で実践されてきた活動・経験を府医でも生かしていただきたいです。また、地域の医師会との交流も一層大事にしたいですね。
大平 医師会入会の窓口となる郡市区等医師会と連携し、府医・日医への入会にもつなげたいですね。
加納 そうですね。私達執行部も郡市区等医師会と積極的に交流したいので、ぜひお呼びいただきたいです。医学生への医師会の認知度向上も課題です。
大平 今年の新研修医ウェルカムパーティーへの参加者は、過去最多でした。
今井 私も参加しましたが、本当にどの研修医も素直で真っすぐで、気持ちの良い若者達でした。
加納 おかげさまで大盛況でした。同じ医師として患者を支えたいと志す者同士、世代や立場を超えた一体感がありますよね。私達は若い世代から新しい感覚を学びつつ、これまでの経験を伝えることができれば嬉しいです。今後も、医師会をアピールいたします。
大平 新事業としては、加納会長肝いりの「医療系職業求人サイト」を構築中ですね。
加納 会員医療機関にとって、医業継承や人材確保は喫緊の課題ですが、有料職業紹介所の高い利用料は、医療機関の経営を圧迫し、問題視されています。
今井 総合病院では、年間数千万円の費用が投入されています。診療所では、安定した人材の確保に向けてなかなか時間が割けないという声も聞きます。
加納 府医では、昨年度から関係団体と協議を重ね、すでに同様の事業を開始している医師会にヒアリングしながら、具体的な運用方法を考えてきました。
大平 今回検討中のサイトは、費用面も含めて使いやすいものでしょうか。
加納 そう思います。費用負担はぐっと抑えて、多くの医療機関にご活用いただきたいです。ランニングコストとしての利用料(年会費)は検討したいと考えますが、成功報酬などは徴収しない想定です。医師・看護師をはじめ、コメディカルを含む多くの職種の求人登録ができますので、看護協会や地域医療推進協議会の加盟団体とも協力し、より活用しやすいサイトを目指します。登録医療機関が多いと、求職者の目に留まります。求職者と医療機関がともに集まる好循環を作りたいと考えています。
大平 盛り上げるためには、様々な広報アプローチが必要ですね。
加納 会員が診療に専念できる環境を整えることは、私達が提供できる会員サービスの一つです。よろしくお願いします。
大平 では、最後に総括をお願いします。
加納 はい。医療を取り巻く環境は厳しさを増していますが、一人でできることには限りがあります。だからこそ、医師会という組織があり、仲間がいます。現場の先生方が安心して診療に専念できる環境づくりを第一に考え、皆様と一緒に大阪の医療を支えていきたいと思っています。どうぞ第2期もよろしくお願いいたします。