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府医ニュース
2026年7月29日 第3151号
霊長類の「霊」は中国古典由来で「すぐれたもの」、という意味がある。元はラテン語の「primus」すなわち「第一の、最上の」を日本語に訳す時に「霊長」という字をあてたらしい。その万物の霊長である人間を最も殺している動物は「蚊」である。これだけ物騒な世の中になっても蚊の媒介する病原体による死亡数がダントツで多い。マラリアだけで2024年は61万人が犠牲になっている。
先日、米国IT大手企業のAlphabetがカリフォルニア州、フロリダ州の両州でWolbachiaという細菌を感染させたネッタイシマカの不妊オスを最大3200万匹放つ許可を米国環境保護庁に求めているとの報道があった。同様の試みは2010年頃から始まっており目新しいものではないが、さてその効果はいかに。
クマは駆除するともれなくクレームが入るようだが、蚊やウイルスは根絶しても良いと考える。この身勝手さは人間の十八番であるが、そこに明確で普遍的な線引きはない。仏教の六道には畜生道がある。人間道よりも下位におきながらも殺生そのものには後ろめたさを残す、仏教独特の倫理観と言える。一寸の虫にも五分の魂というものの、蚊には魂を認めない万物の霊長の器はたかが知れたものだ。
蚊の多い時期になってきた。少しくらいなら血を分けてやらぬでもないが、妙なものを注ぎ込むのは勘弁してほしいものである。(隆)