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府医ニュース
2026年7月15日 第3150号
第162回日本医師会定例代議員会(定数385人)が6月27日午前、日医会館で開催され、任期満了に伴う役員改選が行われた。26年ぶりに全役職が定数内の立候補となり無投票で決定。松本吉郎氏が3期目の会長職を担う。大阪府医師会理事を務める茂松茂人氏も副会長を続投。加納康至・府医会長は監事に就いた。翌28日の第163回日医臨時代議員会では、全国各ブロックからの18題の代表質問に、新執行部が見解を示した。
日医代議員会では、議長の任期が終了しており、事務局が金井忠男代議員(埼玉県)を仮議長に推薦。同氏が定足数を確認し、議事録署名人2人を指名した。正副議長の選定では、議長に久米川啓代議員(香川県)が決定し、以降は同氏が進行。副議長に佐藤和宏代議員(宮城県)が就任し、議事運営委員会委員8人(近畿からは木下智弘代議員〈和歌山県〉)が指名された。
茂松・日医副会長が令和7年度事業を報告。7年12月1日時点の会員数は17万8593人、前年比で1210人の増と述べ、全国の医師会からの組織強化に対する協力に謝意を表した。
角田徹・日医副会長(当時)は、7年度決算説明書に基づき、一般会計と4つの特別会計(医師年金事業、医賠責保険事業、ドクターサポートセンター事業、医療機関勤務環境評価センター事業)の収支状況などを説明。久米川議長が財務委員会委員16人(近畿からは松井道宣代議員〈京都府〉、三浦一樹代議員〈兵庫県〉、安東範明代議員〈奈良県〉)を指名した。同委員会委員長の平川博之代議員(東京都)が、5月8日開催の財務委員会において、7年度決算の原案が適正であると確認したことを報告。挙手多数で承認された。
松本・日医会長が、日医役員および裁定委員の選任・選定について議案の趣旨を説明し、上程した。会長・副会長・常任理事の立候補者が定数内で各職の候補理事として選任。その後、それぞれの職に選定された。また、理事・外部理事・監事・外部監事・裁定委員の立候補者も定数内ですべて選任された。なお、裁定委員には、野上浩實氏(大阪府)が就いた。
最後に新執行部が登壇。松本・日医会長は選任・選定に感謝を述べ、新役員一同、心を一つにして、国民のために地域医療の推進に邁進することを誓い、さらなる協力を要請した。
翌28日には、第163回日医臨時代議員会が開催。久米川議長が開会を宣言し、松本・日医会長が所信表明を行った。続いて、門脇孝・日本医学会長が登壇。来年4月開催の「日本医学会総会2027」が、日医と日本医学会の連携により、医学・医療のより良い道しるべとなることに期待を寄せ、医師会員からの支援と協力を求めた。
議事では、城守国斗・日医副会長が、9年度日医会費賦課徴収について、「日医会費賦課徴収規程」に基づき、前年と同じ会費額および徴収方法を提案。挙手多数にて承認、可決した。
各ブロックからの代表質問では、日医執行部が答弁。全18題のうち消費税に係る質問が5題を占めた。近畿ブロックからは、北村良夫代議員(大阪府/府医副会長)、木村隆代議員(滋賀県)、上林雄史郎代議員(和歌山県)が登壇。茂松・日医副会長は、新型コロナ治療薬の包括化に関する制度改善に関して答弁に立った。
宮川松剛代議員(大阪府/府医副会長)は、上田昌博代議員(新潟県)のベースアップ評価料に係る質問に関連し発言。会員から8年度診療報酬改定による深刻な影響が多く寄せられているとし、今後の診療所の経営実態の調査・検討について問うた。江澤和彦・日医常任理事は、中医協に上がる調査結果を基に、次回改定に向けて議論していきたいと回答。特に配分が少なかった中小病院や診療所の実態を把握し、主張していくと述べた。
第162回日本医師会定例代議員会で3期目となる日医会長に選出いただいた。全ブロックからの推薦に感謝申し上げる。26年ぶりに全役職が定数内の立候補となった。この信頼の表れに応えるべく、執行部一丸となって会務にあたる。
継続的な組織強化により、会員数は過去最高となる一方、A①会員の割合は減少傾向だ。各医師会との連携を維持・強化し、医師会員として実感できる取り組みを進める。医療関係団体・全国知事会などと力を合わせつつ、大学との連携や政治との「顔の見える関係」を発展させる。
社会保障環境は厳しさを増すが、必要な医療は保険診療で確保すべきであり、引き続き「税金・保険料・自己負担」のバランスを重視し、自己負担のみを上げないことと低所得者への配慮を主張する。物価・賃金上昇、医薬品供給不安など喫緊の課題にも対応する。
国民の支持の下で医療提供体制が維持・改善でき、国民皆保険制度の堅持が現実的になる。「国民とともに歩む医師会」を目指し、実効性のある広報戦略の拡充と広報活動の活性化を図る。
日医のシンクタンク的な役割を担う約50の会内委員会における議論や日医総研を活用し、2040年以降の医療環境に向けた医療政策を推進する。
日医は、医療法などの改正を見据え、医師偏在や美容医療などの自由診療、オンライン診療、新たな地域医療構想などに提案・提言してきた。より良い制度運用に向け関与していく。
現在の日医会館は、竣工から約36年が経過しており、中長期的な検討を新執行部で始めていきたい。
令和7年度補正予算では医療・介護で約1.4兆円、8年度診療報酬改定では本体3.09%の大幅プラス改定を実現した。これは全医師会が一丸となって「攻めた」結果だ。攻守ともにバランスの取れた執行部を目指し、攻防一体となって活動していく。新執行部に対する絶大な支援を切にお願い申し上げる。
北村良夫代議員(大阪府/府医副会長)は、控除対象外消費税の問題が、医療機関の経営に深刻な影響を与えてきたと前置き。今後の税制要望は、「診療所は非課税、病院においては課税(軽減税率)」とせざるを得ず、その場合、診療報酬上の補填が引きはがされないよう5%前後の税率が妥当ではないかと提言。また、独立行政法人福祉医療機構(WMA)の融資制度では病院の高額投資への支援が不十分だとし、国への働きかけを求めつつ、日医の考えを質した。
今村英仁・日医常任理事は、先頃行ったアンケート調査では、一つの方向に集約できる結果ではなかったとし、新執行部の下で再調査する方針を示した。関連制度への影響を鑑み、診療所は非課税のまま診療報酬上の補填を継続しつつ、病院においては軽減税率による課税取引に改めることを要望してきたと説明し、引き続き様々な意見を踏まえ、会内の医業税制検討委員会で地域医療の崩壊につながらないよう検討を重ねるとした。また、指摘された高額投資に係る措置については、早急な対応を強く国に求めると加えた。
木村隆代議員(滋賀県)は、ライフステージを通じた切れ目のない健康教育の必要性を強調。かかりつけ医機能を生かした学校・産業・地域保健事業におけるヘルスリテラシーの向上を目指した展開について、具体的な取り組みの方向性の提示を求め、学校保健における保健体育教科書への関わり方などについて確認した。
松岡かおり・日医常任理事は、かかりつけ医が地域保健・公衆衛生活動に幅広く関わり、地域医師会がその活動を支援することが重要だと説示。日医かかりつけ医機能研修制度などを通じて、機能の維持・向上を目指しているとした。また、現在日医は、文部科学省で議論を進める学習指導要領の改訂において、保健体育教科書のワーキンググループに参画しており、より実践的で行動変容に資するものになるよう働きかけると言明。医療者には、医学的知見に基づき、寄り添い支援する伴走者としての役割が期待されていると語り、多くのかかりつけ医が健康教育に関わってほしいとまとめた。
上林雄史郎代議員(和歌山県)は、新たな地域医療構想では、国が定める問題として、これまでのような病床数の目標がないため、基準病床数・必要病床数が目標となると指摘。今後の人口減少や病床数に対する日医の考えを問うた。
坂本泰三・日医常任理事は、人口減少が進む中で「病床数のあり方は要となる論点」としつつ、全国単位ではなく、構想区域単位で捉えることの大切さを強調。全国的な病床数の目標値を設定し、それに向けて削減すべきという考え方に反対し、本構想の根幹は、地域医師会などの関係者による協議、医療機関の役割分担と連携推進、適切な財政支援により、病床数が将来のニーズに応じて自主的に収れんされていくことだと見解を示した。
これに関連し、岡原和弘代議員(大阪府/府医代議員会副議長)が、新たな地域医療構想においては、地域によって全く異なる事情を反映し、それぞれに応じた設定ができるよう、引き続き日医として努力してほしいと要請した。
第162回日医定例代議員会。地震による新幹線の乱れ。台風通過。移動にご苦労された代議員もおられるなか開催。日医役員選挙に出席者369人。議長から「会長あいさつは簡単に」と釘を刺された松本吉郎会長。まさしく「よろしく」との一言。表情もやや硬そうに見える。事業報告、決算報告が粛々と進む。会場も静穏。役員選挙に入る。26年ぶりの完全無投票。「定数内であり、承認の方は挙手を」「挙手多数にて承認されました」を繰り返し、役員・会長・副会長の選任・選定が終わる。3期目の松本会長は「新執行部に皆様の協力をよろしく」と淡々と。全ブロックの推薦を得ての無風選挙にあえて感情を押し殺しておられるような。壇上でも笑顔を絶やさない茂松茂人副会長には、執行部の要としてのご活躍を願う。
翌朝、第163回日医臨時代議員会。松本会長は前日とは打って変わって、にこやかに自信あふれる表情。前夜の選対報告会で、多くの代議員と親しく言葉を交わされた故かと。所信表明では、組織力強化、皆保険制度の堅持、広報戦略充実、中長期的展望、医療法・健康保険法と力強く明瞭に所見を示される。最後に、将来の日医会館建て替えの検討に着手する旨、表明される。インフレに転じているなか、難しい点もあろうが、大いに期待される。
代表質問に入る。今回のメインテーマは「消費税問題」。1989年の消費税導入に当たって、当時の日医からの強い働きかけによって、社会保険診療は控除対象外非課税となった。患者負担の軽減を求めてであろうが、37年が過ぎ、消費税が3%から10%まで引き上げられたのに対して診療報酬での補填が追い付いていない。さらに、医療機器や療養環境へのニーズの高まりによって、医療経営が圧迫される結果となっている。何らかの改善が必要なことは、多くのブロックで共通認識となっており、5件もの代表質問。一括審議となる。大阪・北村良夫代議員は、①診療所は従来通り非課税。病院は課税(軽減税率)としては。②補填部分の引きはがしの弊害を防ぐため、税率は5%前後としては。③建築・改修や高額医療機器購入に対する公的融資充実が必要では。現実的解決への日医執行部の方針を問う。ほかの質問者からは、消費税問題に関する情報の会員への一層の周知徹底の要望。加えて、「消費税問題・物価高の今こそ抜本的見直しのチャンス」と医療機関すべてで等しい課税制度とすべきであり、補填の引きはがし問題などへの日医のリーダーシップを強く求める。かなり突っ込んだ檄(?)も。フロアからの追加質問を含め、現状維持を求める意見は見られず。
日医・今村英仁常任理事が答弁。会員対象のアンケートでは、非課税問題を解決し、一定の課税を受け入れるとの意向が7割を占める。ただ、その半数以上はデメリットの解決を強く要請している。よって日医は、診療所は非課税、病院は課税にて政府と交渉する方針である。その根拠として診療規模ごとの消費税課税シミュレーション、中小診療所での税申告に関してのデメリット、補填の引きはがしの影響などの資料を配布。地域医師会でも精査検討し、日医方針の理解・協力を求める。その上で、再度アンケー卜調査を実施し、まとめたいと。
税制の変更については、国民の理解を得ることは極めて重要であり、日医には強い意思での取り組みが求められるだろう。ただ、二重構造については、日医の便宜優先と観測される恐れがあろう。国民の理解を得るべく、社会保険診療への課税の一本化を視野に入れての長期的展望についての論議が未消化であるように感じた。
医師の地域偏在、地域医療構想、組織強化などの多様な課題に関する質問が続く。これらに共通するのは、地域医師会がそれぞれの実情に応じて取り組むべき課題である。日医の執行部からは、地域地域に固有な活動への期待と支援が示される。ボールが日医から地域医師会へ返された感である。消費税問題をはじめ、地域からのボトムアップが益々期待される。選挙後の記者会見で、「日医では女性役員がほんの数名である。どう取り組むのか」という質問に、会長は「まずは地域で女性役員を育てていただくのが肝要」と答えられたのも象徴的であった。
活発な論議を終え、代議員の皆さんは〝地域〟というキーワードを胸に帰路につかれた。(翔)