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時事
府医ニュース
2026年6月17日 第3147号
5月29日に厚生労働省が提出した医療保険制度改革関連法案が参院本会議で可決、成立した。昨年発行の本紙第3125号(令和7年11月5日付)において国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院呼吸器内科長の後藤悌参考人が、日本は医療費抑制のため薬価の引き下げを行ってきたが、マーケットの魅力が低下することによって、日本で薬を開発しない、薬が届かないという問題が起きていると指摘した。さらに米国は自国薬価を主要国の低価格に合わせる方針であり、薬価を安く設定する日本での発売に対して製薬企業が慎重になる可能性がある。
現在でも問題となっている海外の新薬が日本で処方できないドラッグロスがさらに拡大して、今までのような有効な治療を受けられなくなるリスクがある。一方、高薬価で承認すると社会保険料や患者負担の増加につながり、患者が十分な治療を継続できなくなる可能性がある。
トランプ政権が検討する仕組みでは、引き下げ後の価格を最恵国待遇(MFN)薬価と呼んで、高齢者向け公的医療保険「メディケア」や低所得者向け公的医療保険「メディケイド」に適用する。管轄するメディケア・メディケイドサービスセンターの資料には価格の参照国に日本が含まれるとの記載がある。メディケイドの場合、米国を除く主要7カ国(G7)とデンマーク、スイスの実勢価格のうち2番目の低価格を基準に、1人当たり国内総生産(GDP)で調整して薬価を決める。製薬会社の参加は任意とのこと。メディケアでは日本や韓国、オーストラリア、欧州各国など19カ国の価格を参照する。製薬会社は参加義務があり、一部は10月に始まる予定である。
製薬企業にとっては日本に薬品を販売しなければ薬価が付かず、参照されないこととなり、米国での薬価を下げないために日本への発売を控える可能性がある。米国研究製薬工業協会によると、新薬発売時の日本の薬価は過去10年間においてすべての主要国より低く、5年はフランスより30%、米国より61%下回っていた。協会は革新的な新薬の価格が国際水準と整合するよう薬価を決めるルールを見直し、特許期間中の薬価を維持する対応を日本政府に求める。日本製薬工業協会も作業チームを作り、対応を検討する。
厚労省は6年度の制度改革で、特許期間中の革新的新薬の薬価を維持できるようにしたが、予想より売れた新薬の薬価を抑えるルールなどがあり、薬価の引き下げは起こる。自民党のプロジェクトチームは4月24日に海外新薬の発売が見送られたり、遅れたりするリスクへの対応を盛り込んだ創薬分野の成長戦略に関する決議を厚労省に提出した。
慢性骨髄性白血病が治癒を目指すことができる時代を迎えた実績を鑑みて、厚労省の薬価制度改革における機動的な対応を望みたい。(中)