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府医ニュース
2026年6月3日 第3146号
令和8年4月24日、東京都新宿区の小学校で新たに児童24人、教職員5人の計29人の麻疹感染が確認され、同校の感染者は47人となった。この47人の内訳は、9歳以下12人、10歳代29人、20歳代1人、30歳代3人、40歳代2人で、いずれも直近の海外渡航歴はなかった。麻疹を理由とする学級閉鎖は、都内では平成26年以来となる。なお、47人のうちワクチン2回接種者(28人)は、全員が軽症。4人は1回接種、3人は未接種、12人は接種状況を調査中とのこと。
麻疹ワクチン接種の歴史を見ると、昭和41年に麻疹ワクチンが任意接種として導入され、不活化ワクチンを事前に接種するKL併用方式で効果・安全性に問題があった。そのため44年に弱毒生ワクチンの任意接種が導入された。53年10月1日から生ワクチンの定期接種が開始され、1歳~7歳半で1回接種。平成18年4月からMRワクチン(麻疹・風疹混合生ワクチン)を導入、接種回数は2回(1歳時と就学前時)で、現在に至る。MRワクチンは、個人差はあるが2回接種で数10年は効果が持続するとされている。1回接種では、10~20年ぐらいで効果が減弱し、免疫的には不十分である。2回接種で発症も予防でき、感染しても軽症である。麻疹は感染力が強く空気感染のため、マスクをしていても感染する。感染症の基本再生産数(R0)は麻疹で12.0~18.0、インフルエンザが1.0~3.0、新型コロナウイルス感染症では2.1~5.1で、後者2疾患よりはるかに感染力が強い。1人の患者で、40人教室から12~14人の感染者が出る。このような予防接種の取り組みにより、27年3月27日に、世界保健機関(WHO)から、正式に「日本の麻疹排除宣言」が認められ、3年以上、国内土着株による感染例は認められていない。海外では今も麻疹が蔓延している地域がある。また、新型コロナウイルス感染症の流行時は、世界中で種々のワクチン接種を忌避する傾向も広がり、日本でも接種率が低下し、令和6年の2回接種率は91.0%であった。集団感染予防としては、接種率95.0%以上を目標としている。
麻疹には特定の有効な治療がなく、予防としてワクチン接種のみが有効である。昭和47年9月以前生まれの人(53歳以上)は、ワクチン接種歴がなくても、自然感染で多くの人にある程度の免疫があると考えられる。47年10月1日~平成2年4月1日生まれの人(36~53歳)は、1回の定期接種のみで不十分と考え追加接種を検討、2年4月2日~12年4月1日生まれの人(26歳~36歳)は、追加接種の機会があったので接種歴の確認が必要である。また、12年4月2日以降生まれの人(~26歳)は、原則2回接種しているが、母子手帳で確認が必要である。なお、接種歴が不明の人は、血液検査の麻疹抗体価(EIA法)16.0以上で陽性、2.0~15.9は抗体不十分、2.0未満は陰性として追加接種が必要か検討する。