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時事

第39回厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会が開催

府医ニュース

2026年5月27日 第3145号

ワクチン安定供給指針の策定始動

 令和8年3月30日、第39回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会が開催され、ワクチンの安定供給に関する指針作成について議論が本格化した。新型コロナウイルス感染症への対応で露呈した供給不安を踏まえ、平時からの需給把握、供給不足時の国・都道府県および市町村・製造販売業者・卸売販売業者・医療機関の役割分担、連携体制を体系化する初の指針となる。
 ワクチンは製造開始から出荷までに要する期間が長く、需要の変動に合わせた短期間での生産調整が困難であり、国内で定期接種ワクチンを製造できる企業数も限られる。天災や紛争、設備故障、感染症流行などによる急激な需要増が重なると医療機関での在庫不足が即座に接種機会の逸失につながる。このため、国は平時から製造販売業者と連携し、在庫量・出荷計画・接種率などの情報を把握し、需給逼迫の兆候を早期に捉える仕組みを整備する。
 供給不安が生じた場合には、製造販売業者に対し薬機法に基づく供給不安報告を求め、代替ワクチンの供給状況調査や関係者への協力要請を行う。供給不足に至った際は、前倒し出荷や他社品との調整、医療機関への情報提供を迅速に行い、地域偏在の防止を図る。医療機関側にも過剰発注を避け、在庫状況を踏まえた適正な発注を求める。都道府県および市町村は体制整備と在庫状況の偏在などの状況を把握し、製造販売業者は供給体制管理責任者を設置して、供給不安ワクチンについて在庫数量など必要な情報を国に速やかに報告する。緊急に必要な期間に企業間で生産数量調整を行う場合は、独占禁止法上問題とならないと明記された。
 卸売販売業者は適切な発注計画で流通在庫量を保ち、医療機関は関係者と連携し需要に応じた発注を行うなど、平時と需要逼迫時に応じた取り組みが協議された。製薬会社4団体と日本医薬品卸売業連合会からも現場の課題が示された。製薬企業側は、▽ワクチンは専用設備での製造が多く流用困難▽生物学的製剤としてのレギュレーション対応の必要性▽需要予測の難しさ▽1年以上の供給リードタイムや廃棄リスク▽少子化による小児ワクチン市場の縮小で設備維持や人材確保の負担増加――などを課題として挙げた。卸売側は、近年のワクチン流通では超低温管理を要する製品の増加により、コールドチェーン実現のための設備投資が不可欠になっている点を報告。国、自治体、企業、医療機関各部署の情報共有のために医療DX活用や予防接種事務のデジタル化など、データ連携基盤整備が重要とされた。
 ワクチン供給安定は医療現場の接種体制のみならず、健康医療安全保障と国の危機管理能力を左右する基盤である。今回の指針案は平時からの情報共有と役割分担を明確化し、供給不足の未然防止と迅速な対応を目指すものであるが、医療DXの推進に伴う費用、運用面など、現場での課題も多い。今後関係団体の意見を踏まえた最終案が取りまとめられ、新たな指針に基づく接種および供給、在庫管理体制の見直しが求められる見通しである。(昌)