
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2026年5月27日 第3145号
◆60年以上前、米国の遺伝学者H・J・ミュラーは、無性生殖やクローン生殖を続けると不可逆的な有害突然変異が蓄積し、やがてそれらの生物は絶滅すると提唱した。「ミュラーのラチェット理論」である。
◆今年、山梨大学などの研究班が1匹の雌マウスの体細胞からクローンを作り、再クローニング(連続核移植)を続けた結果、20年後の58代目で限界が来たと発表した。27代目以降に生存に深刻な影響を与える有害な突然変異が増え蓄積したという。哺乳類では世界で初めてミュラーのラチェット理論を実証した歴史的発表である。
◆先日、米国で新型AIが発表され、その想定を超える性能に世界が衝撃を受けた。悪用による危険性は核兵器並みの脅威とされ、一般公開が見送られた。AIの進歩の果ては制御不能にも陥る。
◆クローン技術の進歩は、医療や畜産などの分野の応用に期待がかかるが、その目的を誤れば生命の倫理的制御不能に陥りかねない。「クローンの限界」を超える未知の領域にも何処か不安が拭いきれない。(誠)