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医師・医療関係者のみなさまへ

第38回 医療情報に関する講演会

府医ニュース

2026年5月27日 第3145号

みんなで進める医療DX

 大阪府医師会は4月9日午後、府医会館で「第38回医療情報に関する講演会」を開催。ウェブ併用で、約160人が受講した。「各分野で深化する医療DX」をメインテーマに、4題の講演がなされた。

 清水智之理事が司会を務め、加納康至会長はあいさつで、急速な社会構造の変化に対応する医療DXの重要性を指摘。本研修会が、適切なICT化に対する理解を深める一助となればと期待を込めた。
 次いで、篠永安秀氏(府医医療情報委員会委員長)を座長に、4人の講師が登壇した。

AIの使用には医師の最終確認が不可欠

 まず、松村泰志氏(国立病院機構大阪医療センター院長)が、「LLMの医療への応用・医療DXへの展開」と題して登壇した。LLM(Large Language Model)は、大量の文章データを学習し、次の語を予測して文章を生成するAIだが、あくまでも予測に基づくものであり、もっともらしい誤った情報を生む「ハルシネーション」を起こすと指摘。その上で、業務での活用に向けた学習方法や課題解決策に加え、機密情報の取り扱いや法整備の必要性を詳述した。現段階では、退院時サマリーや診断書の下書きなどへの応用が可能としつつも、手間を減らすツールであり、医師が最終的な内容をしっかりと判断しながら使うことが不可欠だと結んだ。

東京都の事例を中心に今後の展開を考察

 次いで、土屋淳郎氏(東京都医師会理事)が、「ICTを活用した地域包括ケアネットワークの今後」について考察した。令和6年度診療報酬改定での在宅医療情報連携加算の新設を評価し、ICTを用いた情報共有により、在宅療養患者の希望に沿えた事例を説明した。また、都内で有志が共同開発をしているMCS(Medical Care Station)の「チーム機能」を紹介。現状では、多職種を24時間の支援チームとして一括管理しているが、今後は緩和ケアや診療科ごとのチームにも展開できればと語った。医療データの「ためる」「つなげる」を進め、適切にAIを用いながら、「医療DX」として活用することが大切だと語った。

浪速区医師会が会員とともに進める医療DX

 3題目は、「発展する浪速区医師会の地域医療ネットワーク――浪速区医療DX」と題して、久保田泰弘氏(同医師会長)が講演。まず、同区での調査結果を報告した。電子カルテ未導入施設の約8割は5年以内に導入予定がなく、費用や事務負担などをその障壁に挙げた。政府主導の電子カルテ標準化も様子見の姿勢が多く、普及は困難だと分析。同区の病診連携システム「ブルーカード」と多職種連携システム「Aケアカード」に触れ、紙カルテの医療機関も包括して進めてきたとした。さらに、同区では全医療機関のクラウド完結型情報共有システムを目指しており、広報活動を強化して行ったクラウドファンディングで、資金調達に成功したと伝えた。

直近の医療DXの現状や課題を詳述

 最後に、「時事トピック――医療DXについて」をテーマに、上野智明氏(日本医師会ORCA管理機構〈株〉取締役副社長)が、医療DXの現状を説述。昨年末に成立した医療法改正案を受けた医療DXに関する見直しに言及し、電子カルテ情報共有サービスの法的位置付けは、医療機関などから支払基金へ「3文書6情報」を提供するためだと解説した。電子処方箋の普及が進まない現状にも触れ、電子カルテ導入済みの医療機関には次回更新時の電子処方箋導入、未導入であれば一般的な電子カルテ導入を促す緩やかな方針へ転換したと述べた。そのほか、オンライン資格確認やマイナ保険証などの現状や課題などに触れた。