TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

時事

医療関係職種の安定的な養成・確保

府医ニュース

2026年5月20日 第3144号

横断的議論が始まる

 5月7日、厚生労働省「医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会」の第1回会合が開催された。年内にとりまとめを社会保障審議会医療部会に報告する計画とされる。背景には、▽医療・介護の複合ニーズを有する85歳以上を中心に、2040年頃まで高齢者数が増加▽少子化のさらなる進展▽多くの医療関係職種で養成施設の定員充足率が近年低下傾向――などが挙げられている。
 18歳人口の減少率(21~40年)は全国で35.2%と推計され、秋田県の53%を最大に、青森県、岩手県、福島県で50%以上となっている。大阪府は35%、東京都は12%であり、高齢者人口の推移同様、地域差が大きい。
 また、養成課程における一昨年度の定員充足率は、看護師:89.6%、理学療法士:87.8%、作業療法士:66.5%、言語聴覚士:72.9%、診療放射線技師:103.2%、臨床検査技師:76.1%、臨床工学技士:57.0%、視能訓練士:68.5%、義肢装具士:80.6%、歯科衛生士:79.1%、歯科技工士:53.5%、救急救命士:82.6%と算出されている。
 これらの職種について、横断的に、養成や医療の現場、地域や都道府県・国等が一体となって取り組むべき事項が議論される。論点には、①養成体制の整備②養成から現場へのつなぎ支援③働く環境の整備④地域における推進体制の整備――が示されている。
 なお、医師、歯科医師、薬剤師に関しては、個別の検討が進んでいるため、検討会の議論から外されている。
 現実問題として、対象職種以外でも、医療を支える人材不足は深刻である。ドクターヘリは、整備士不足のため昨年度には大阪府を含む10都府県で、断続的な運休に追い込まれた。このため、3月31日には厚労省が、整備士に代わって操縦士を同乗者として認めるなどの臨時的措置を発出する事態となっている。
 そもそも本検討会の設置は、昨年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」において〝人手不足が取り分け深刻と考えられる12業種〟[飲食業、宿泊業、小売業、生活関連サービス業(理美容、クリーニング、冠婚葬祭)、その他サービス業(自動車整備、ビルメンテナンス)、製造業、運輸業、建設業、医療、介護・福祉、保育、農林水産業]に関し、各所管省庁による「省力化投資促進プラン」の公表を定めたことに端を発する。
 一方で、政府は新たに、〝戦略17分野〟[AI・半導体、デジタル・サイバーセキュリティー、情報通信、量子、防衛産業、航空・宇宙、海洋、造船、マテリアル、合成生物学・バイオ、創薬・先端医療、資源・エネルギー安全保障・GX、フュージョンエネルギー、フードテック、防災・国土強靱化、港湾ロジスティクス、コンテンツ]における人材確保のための省庁横断の会議体を設置すると報じられている。
 各産業における人材・人手不足が深刻化し、メディアに「仁義なき人材の奪い合い」との表現が登場するようになって、すでに10年以上が経つ。
 単なる奪い合いに終始しない〝何か〟が期待される。(学)