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時事

社会保険診療報酬支払基金の事業計画

府医ニュース

2026年5月6日 第3143号

令和8年度は変革の年

 社会保険診療報酬支払基金(以下、支払基金)は、令和8年10月に審査支払機能に加え、医療DXに関するシステムの開発・運用を担う母体として「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(DX審査支払機構)」へ改組することになっている。大変革の8年度事業計画における取り組みとして、まず「DX審査支払機構の円滑な立ち上げと医療DXの本格的な展開」を掲げた。具体的には、診療報酬改定DXの柱である共通算定モジュールの本格運用を6月から開始するとともに、電子カルテ情報共有サービスは冬ごろに全国での運用開始を目指している。さらに、支払基金が保有するレセプトデータなどに関する知見や第三者提供支援の経験を活かし、研究者らに対するNDBデータや被用者保険の統計情報の提供など、データの利活用の促進にも積極的に取り組むとした。
 次の柱として、「関係者との信頼に基づく審査機能の強化」を掲げ、6年度に明らかになったレセプト画面を自動的に遷移させるツールを使用していた事案(自動遷移ツール事案)を踏まえ、関係者の信頼を強固なものとするため、引き続き再発防止策の徹底、定着に取り組んでいく。審査実績の向上基調を堅持するため、原審査の質に関する各種指標を総合的・多角的に分析・可視化するとともに、再審査査定のコンピューターによるチェックへの反映やAIのさらなる活用の検討など、目視対象レセプトの絞り込みの効率化に向けた取り組みを進めていくとした。「自動遷移ツール事案」もあり、本来、8年度から再審査手数料を含む新しい手数料体系を導入する予定であったが、導入は延期となっている。保険者からの審査手数料は原審査に対してのみ支払われ、再審査は無料であり、保険者再審査が同一レセプトにおいて複数回、多いものでは5回を超えている現状の一因ともなっている。原審査の質を向上させるのであれば、原審査に十分時間を割く必要がある。再審査手数料を含む新たな手数料体系の早期導入という再審査請求の適正化によって、原審査により多くの時間を振り分けることができ、原審査の質を向上させると考える。
 さらなる柱の「医療DXと審査支払の両方を担う組織基盤の強化」を図るため、人事面では即戦力と組織の持続可能性の確保を軸とした採用を推進していく。医療DX部門をはじめとする専門分野では、経験者採用などの即戦力となる専門人材の確保や30代から40代前半の手薄な年齢層の社会人採用による重点的な補充など、多様なルートを通じた戦略的な採用を行っていくとした。一方、審査委員の高年齢化と2年ごとの改選時における多数の経験者の退職、経験を積むための必要年数および、専門科検討会や全体研究会へ参加可能な時間的余裕も重要課題である。さらに、最近増加の一途である在宅医療関連レセプトや右肩上がりの増加のみならず高額化でも問題となっている訪問看護ステーションレセプトにも対応できる在宅医療に精通した審査委員が増えていない点を危惧する意見が審査委員会にはある。本年度から本格化する訪問看護ステーションの審査、12年1月の新たな審査支払システムの稼働に伴い現場が希望している訪問看護ステーションと指示書を発行している医療機関両者のレセプト突合点検が開始される可能性があり、対応可能な審査委員の充足については推薦団体である都道府県医師会と地区医師会の理解と努力に期待したい。(中)