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時事

令和8年度定期接種制度改革の要点

府医ニュース

2026年4月1日 第3140号

第64回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会開催

 令和8年2月12日、第64回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会が開催され4月1日から実施される予防接種制度改正について協議された。今回の改正は、▽RSウイルス▽高齢者肺炎球菌▽HPV感染症▽高齢者インフルエンザワクチン――の4種となる。
 RSウイルス感染症は年間2歳未満の12~18万人が診断され3~5万人が入院を要する。今回新たにA類疾病(集団予防が重点、努力義務あり)に分類され妊婦を対象とした母子免疫ワクチンが定期接種となる。対象は妊娠28週0日から36週6日までの妊婦で、妊娠ごとに1回の筋肉内注射(組換えRSウイルスワクチン:アブリスボ0.5㏄)を行う。これまで自費で3万円台からの負担が問題となっていたが公費負担となる意義は大きい。妊婦接種により出生児に受動免疫を付与し、生後6カ月までのRSウイルス感染による重症下気道感染症に対し7~8割程度の予防効果が期待される。
 高齢者肺炎球菌ワクチンでは、従来の23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)が定期接種から外れ、血清型カバー率、有効性、安全性、費用対効果等を踏まえ新たに沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20:プレベナー20)が導入される。対象は65歳の者および60~64歳で一定の基礎疾患がある者となり1回の筋肉内注射(0.5㏄)である。免疫記憶を誘導する結合型ワクチンとなりPPSV23のような追加接種は要しない。なお、7年8月に高齢者等に対し薬事承認されたPCV21(キャップバックス)については今後定期接種化に係る検討が開始される見込みである。
 HPVワクチンはこれまで選択肢に含まれていた2価・4価ワクチンが定期接種から外れ9価ワクチン(シルガード9)のみに一本化される。対象は小学6年から高校1年相当の女子で15歳未満は2回、そのほかは3回筋肉注射を行う。9価ワクチンの男性の肛門がん、尖圭コンジローマ等予防に対する適応拡大が昨年8月薬事承認されたが定期接種化について最終段階の議論が進められている。
 高齢者インフルエンザワクチンでは、高用量インフルエンザワクチンが新たに定期接種となる。従来の標準量インフルエンザワクチンの高齢者定期接種の対象は65歳以上の者および60~64歳で一定の基礎疾患がある者に対し皮下注射0.5㏄となっていたが、高用量ワクチン対象は75歳以上の者で筋肉注射0.7㏄であることに注意が必要である。高用量ワクチンは抗原量が標準量の4倍で、加齢に伴う免疫応答の低下を補う目的で開発された。標準量と比較して抗体価の上昇や持続期間の延長が示されており、肺炎やインフルエンザ関連入院の減少効果も報告されている。
 いずれのワクチンも医師が必要と認めた場合、ほかのワクチンと同時接種が可能である。医療従事者は、対象者の背景や接種歴を踏まえた適切なワクチン選択を支援し、制度変更に伴う疑問や不安に丁寧に対応することが求められる。実際の接種に際しては厚生労働省からの正式な通知や添付文書などを参照されたい。(昌)