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時の話題
府医ニュース
2026年4月1日 第3140号
日本では令和2年以来、新型コロナウイルス感染症の流行が見られる。現在ではウイルスの性状も判明し、ワクチンや治療薬の開発、対処方法も分かり、国民の社会生活や活動も流行以前の正常な状態になっている。感染症流行当初は、社会機能が麻痺し、ワクチンやウイルスに対する根拠不明のデマがSNSなどで拡散され、国民の生活が著しく制限された。その経験から、国立国際医療研究センター(NCGM)と国立感染症研究所が統合され、国立健康危機管理研究機構(JIHS)が昨年4月に発足した。統合された理由は、両者で情報の共有に限界があったことで、早期にワクチンや治療薬の開発に支障があったためである。旧感染症研究所には全国の保健所から新型コロナウイルス情報や検体(基礎情報)が届けられる一方、旧NCGMには患者の臨床経過や治療経過などの臨床情報やデータがあっても、両者を直接つなげる仕組みがなかった。組織的には独立行政法人と国立の統合で、本格的な融合は想定以上に困難だが、國土典宏理事長は体制強化に向けて取り組んでいる。
政府はJIHSと別に、6年9月、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置し、内閣総理大臣、内閣官房長官を助け、平時の準備、感染症危機発生時の初動対応などに対し、政策方針の企画・立案を一元的に所掌する。企画・立案においては、JIHSから専門家としての科学的知見の情報提供を受ける。
JIHSは、基礎から臨床応用まで迅速につなげ、早期に企業とも連携しワクチンや治療薬の創薬に取り組む。3年度に厚生労働省は新興・再興感染症データバンク事業ナショナルリポジトリ(REBIND)を旧両機関に委託し、全国の医療機関から集めた臨床データや検体、ヒトゲノムや病原体ゲノム情報を研究者に提供し利活用を進めてきた。
これを発展させ、6年度から感染症臨床研究ネットワーク(iCROWN)を構築し、感染症危機発生時に備え、平時から全国の医療機関や自治体等と連携し、多施設で感染症の臨床研究ができる体制を構築している。それにより、新薬の効果を調べるランダム化比較試験を行うことができる。新薬を服用する群と偽薬か従来の薬の群の2つに分けて効果を調べる。
デマ情報があふれる新型コロナでは「インフォデミック」も社会問題となった。当機構のホームページを充実させ、感染症の正確な情報を発信し、政府、行政、報道機関、国民と双方向な広報を強化していく。ほかに、JIHSは国内外の人材育成、国際医療協力の機能も担っている。