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医師・医療関係者のみなさまへ

第35回 接遇研修会

府医ニュース

2026年4月1日 第3140号

医療現場におけるカスタマーハラスメントへの対処法

 大阪府医師会は1月14日午後、府医会館で接遇研修会を開催し、医師や看護師ら約170人が参加した。

 森口久子理事が司会を務め、開会のあいさつで本研修会は、平成3年度より始まり今回で35回目を迎えたと報告。研修を通して患者からのハラスメントへの対応を学び、医療現場で役立ててほしいと語った。
 次に、早川友希氏(弁護士法人第一法律事務所)が「医療現場におけるカスタマーハラスメント(ペイシェントハラスメント)に対する考え方と対処法」をテーマに講演した。まず、カスハラについて概説。具体例として、▽時間拘束型▽リピート型▽暴言型▽正当な理由のない過度な要求――などを挙げた。加えて、令和7年6月に公布されたカスハラ防止法(改正労働施策総合推進法)における定義を解説。患者側のクレーム内容に正当な理由があったとしても、要求を実現するための手段や態様が社会通念に照らして不相当であれば、カスハラに該当し得ると説明した。特に、身体的・精神的な攻撃は要求内容に関わらず不当とされる可能性が高いと述べた。
 現場での対処において、感情的な対立を避けるための冷静な初期対応や傾聴を心がける一方で、安易な謝罪は避け、複数人での対応や録画による証拠の確保を推奨。また、カスハラ認定時の対応を要求行為別に対応例を基に説示した。カスハラ対応のための組織体制は、①カスハラ対策の基本方針などの明示②職員の相談窓口の設置③管轄警察署や弁護士の連絡先などの外部協力者の周知――が必須であると強調。さらに、診療拒否にも言及し、正当な理由がある場合は医師法19条第1項の応招義務に違反しないとした。
 最後に、「カスハラは許されない」という毅然とした対応認識を共有するとともに、チームで医療現場を守るためにも一人で抱え込まず、周囲に頼ることが不可欠と締めくくった。