
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2026年4月1日 第3140号
大阪府医師会労災部会・産業医部会および労災保険情報センターが主催する「令和7年度第3回労災医療研修会」が1月28日午後、大阪市中央公会堂で開催された。当日は、府医会員や関係者ら約140人が聴講した。
永濵要理事は、冒頭のあいさつで精神疾患による労災請求の増加やペイシェントハラスメントの深刻化に言及。医師には医学上の判断に加え、職場環境など社会的背景を踏まえた慎重な対応が求められると伝えた。本研修会が日常診療や産業医活動の一助になればと期待を寄せた。
樂木宏実氏(府医労災部会副部会長)が座長を務め、はじめに小島崇宏氏(大阪A&M法律事務所弁護士・医師)が、「医療倫理・医師の応招義務も踏まえたペイシェントハラスメント対応」と題して講演。まず、患者による迷惑行為を列挙し、カスタマーハラスメントの概念を解説した。患者の権利意識の高まりや社会的ストレスの増大により医療従事者が過度なリスクを感じ、医療現場の萎縮や職員の離職を招きかねないと指摘。一方で、患者は疾患を抱える社会的弱者であり、入院中は長期間関わらざるを得ないなど、医療特有の難しさにも触れたほか、組織として、▽基本方針の策定▽職員教育▽事実確認▽複数人での対応▽記録化――といった実務的対応と働きやすい医療現場づくりの必要性を訴えた。
続いて、漆葉成彦氏(佛教大学保健医療技術学部教授)が、「職場のメンタルヘルスと労災」をテーマに登壇した。精神障害の労災認定件数が6年度に初めて1000件を超えたことを踏まえ、産業医が果たす役割は重要と強調。若年層や30代女性におけるメンタルヘルス不調の急増にともなう相談件数の増加、「新型うつ」と呼ばれる非定型的症状への対応の難しさなど、近年の特徴を紹介した。業務負荷や人事措置、ハラスメント事案を巡る産業医の立場を整理し、産業医が担うべきは心身症状の評価であり、事実認定や紛争調停を行う立場ではないと呼びかけた。最後に、「紛争を未然に防ぎ、訴訟へ進みにくくする選択肢を残すことが産業医の役割」と締めくくった。