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新年に思うこと

府医ニュース

2026年1月21日 第3132号

 2026年の幕開け。
 年明け早々、島根・鳥取で震度5強(M6.4)の地震、アメリカによるベネズエラ大統領拘束など、国内外で着目すべき出来事が起こっている。一気に様々な情報が入り、いろんな立場の方の見解が伝わると、ついつい報道に引きずられてしまう。
 不確かな情報の流布。
 江戸時代にフェイクニュースの原点といわれた「椿井文書」がある。
椿井文書は、江戸時代後期の国学者、椿井政隆(1770-1837)が作成した大規模な偽文書群で、室町時代の文書を装っている。近畿地方を中心に数百点分布し、あまりに精巧で多くの研究者が本物として引用してきたこともあり、現在でも、寺社の縁起や町おこしの根拠として地域に深く根付き、地域史や文化財として大きな影響を及ぼしている。後の調査で、偽文書であることが明らかになると、文化財の指定解除問題など、既存の歴史的な見解を根底から見直す必要に迫られる事例もあり、また一方で、200年以上も前のフェイクが定着し、人々に信じ込まれていく過程が、現代にも通じることより、情報拡散のメカニズムの先行事例という意見もある。
 もうすぐ1月25日、初天神だ。全国の天満宮(菅原道真を祀る神社)で、その年最初の天神様の縁日である。大阪天満宮では、鷽(うそ)替(か)え神事も行われる。天神様の遣いとされる鳥「鷽」を模した木彫りのお守りを交換し合うことで、前年の災厄を「嘘」にして、良いことに取り替えることを願うもの。
 情報の真偽が問われる時代だからこそ、情報の洪水の中でも、真実を見極める目を養う1年としたいと願う。嘘を払い、誠を願う、鷽替えとともに。

鷽替の
 数だけ福の
   笑み貰う
中川三千草

(颯)