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将棋部だより

3月例会の成績 指運が決めた勝敗

府医ニュース

2022年5月4日 第2999号

 3月20日に今年2回目の例会を、大阪市中央区谷町の大阪府社会福祉会館で開催した。桜があと数日で開花しそうだった。
 政治哲学者のハンナ・アーレントは、ナチスの親衛隊長の裁判をエルサレムで傍聴した折りに、「悪とは陳腐なものだ」とコメントした。戦争を起こす者の気持ちもそうであろう。千古変わらぬ愚行である。我々は創造性を発揮しながら、盤上で芸を競う。
 参加者は9人だった。全員が健闘し、長期戦しかも接戦になる場合が多かった。まだ中盤なのに持ち時間を使い切り、秒読みにせかされながら長手数を指した。当然ながら読み切れないので、直観的に良いと感じた手を指すほかになかった。これを将棋用語で、「指運に任せる」という。あたかも指が勝手に動いて駒を動かしてしまったと感じられる時があるからである。対局者がともにそうなれば、指運によって勝負が決まる。この日はそうした決着の仕方が多くて、観戦していても面白かった。
 全勝者がおらず、3勝1敗者が3人いた。規定により準会員二段が優勝、山中五段(福島区)が2位、手島七段(和泉市)が3位になった。ほかの参加者は、松村六段(池田病院/東大阪市)、伊藤五段(野崎徳洲会病院/大東市)、東森五段(平野区)、佐野五段(豊中市)、青谷三段(高槻市)、柿原三段(堺市)だった。
 アーレントの親友だったヴァルター・ベンヤミンは、「幸福な人とは、恐怖を感じないで自分自身に向き合える者のことだ」と述べた。「自分自身を恐れて怯む者は、地獄に落ちる」とダンテも言った。我々は勝てばもちろん、負けても自分自身に向き合う。将棋の修行によって、幸せになるのである。

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手島愛雄(和泉市)