
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

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府医ニュース
2016年9月28日 第2797号
◆夢は名人になること。目標は生きて、生き延びること。子どもの頃から限りある命を意識し、将棋に打ち込み、一途に生きた棋士がいた。名人位を前に、A級棋士のまま旅立った村山聖である。
◆5歳の時にネフローゼを発症し、その病を抱えたまま成長した。そして、27歳の時に進行性膀胱がんを患い、その後も命を削りながら戦い抜き、29年の生涯を終えた。
◆生まれ、成長する幼い時期での病は、子ども心にもその精神的葛藤は深く、想像に計り知れない。それでも彼には、命そのものが奇跡、すべてを受け止める人生観が創造された。遺品整理の中に、こんなメモ書きがあったそうだ。「人間は悲しみ、苦しむために生まれた。それが人間の宿命であり、幸せだ。僕は死んでも、もう一度人間に生まれたい」
◆この秋、映画『聖の青春』が上映される。病とともに目一杯駆け抜けた、ひとつの生き様が見られるだろう。今さらながら改めて、研ぎ澄ました気持ちで一人ひとりの命を考え、医療人として生きるための新たな視界が開けるかもしれない。(誠)