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時の話題

総合診療医の定義

府医ニュース

2016年8月31日 第2794号

期待される役割とは?

 新専門医制度では、従来の18の基本領域に「19番目」として総合診療専門医が創設されることになった。平成25年8月6日に出された社会保障と税の一体改革に係る「国民会議報告書」では、「高齢化等に伴い、特定の臓器や疾患を超えた多様な問題を抱える患者が増加する。複数の領域別専門医による診療よりも、総合的な診療能力を有する医師(総合診療医)による診療の方が適切な場合が多い」との見通しから、「新しい提供体制は、緩やかなゲートキーパー機能を備えた『かかりつけ医』の普及、定着は必須であろう」との見解が示されている。
 総合診療医とは、「日常遭遇する疾患や傷害に対して適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に提供するとともに、疾病の予防、介護、看取り、地域の保健・福祉活動など、人々の命と健康に関わる幅広い問題について、適切な対応ができる医師」と解釈することができるだろう。つまり、制度化されたものではないものの、我が国では地域で活躍している、いわゆる「かかりつけ医」そのものであると考えられる。
 一方、9年に旧日本プライマリ・ケア学会にてプライマリ・ケア専門医制度が創設され、18年には旧日本家庭医療学会で家庭医療専門医制度が創設された。22年には学会合併により両制度が統合され、家庭医療専門医制度として継続されている。このように特定の専門領域を担当するのではなく、ひとりの患者を全人的に担当する医師としてのアイデンティティーが確立されてきた。
 今回、「総合診療医」を専門医の19番目として創設するに至るまでに、「かかりつけ医と総合診療医」の相違や、「総合診療医を新たに創設することの必要性」などが議論されてきた。
 議論が尽くされたとは言い難いが、「総合診療医」には、他の領域別専門医や多職種と連携して、地域の医療、介護、保健等の様々な分野についてのリーダーシップを発揮しつつ、多様な医療サービス(在宅医療、緩和ケア、高齢者ケアを含む)を包括的かつ柔軟に提供することが期待されている。
 総合診療専門医に求められるコアコンピテンシー(核となる能力)として、1.人間中心の医療・ケア2.包括的統合アプローチ3.連携重視のマネジメント4.地域志向アプローチ5.公益に資する職業規範6.診療の場の多様性――の6つが提示されている。総合診療医は、医療の専門分化が進む一方、高齢化の進展で複数の疾患を持った高齢者が増加している現状を鑑み、特に人口減少が著しく医師不足の深刻な地方での活躍が期待される。
 専門医機構は、総合診療領域については30年度にスタートし、当面は家庭医療専門医を推奨するとしている。今後は、「総合診療医」が医療費抑制策の切り札として、フリーアクセスの制限、人頭割制度の導入などにつながらないよう注視する必要がある。