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医師・医療関係者のみなさまへ

府医勤務医部会第1~4ブロック合同懇談会活動報告

府医ニュース

2016年6月15日 第2787号

第2ブロック世話人 新井 基弘
医療事故調査制度をテーマに実施

平成27年度第1~4ブロック合同懇談会が2月17日、阪急グランドビルにて開催されました。今回は第2ブロックが当番で担当させていただきました。
 医療事故調査制度をテーマに、大阪医科大学附属病院医療安全対策室長の村尾仁先生と北浜法律事務所弁護士・医師の長谷部圭司先生に講演いただきました。
 村尾先生には「医療事故調査制度を患者安全文化醸成に活かすために」と題して講演いただきました。大学病院の中で、医療安全対策室のスタッフとともにインシデント、アクシデント報告について検証する中で、医療事故の検証を積極的に取り組んでおられることを紹介されました。その取り組みの経験から患者安全文化というワードを使いながら「患者や家族の心情に対する配慮とは何でしょう」という問いかけがなされました。それには、2つの要素があり、ひとつは、事故後できるだけ速やかに事故の事実を有りのまま隠さず正直に伝えること(情報開示)。もうひとつは、過失(医療ミス)の有無にかかわらず、残念な結果になったことを申し訳なく思うと伝えること(広義の謝罪)という内容で、医療人として在るべき姿を学びました。ここでいう謝罪は、過失に対する責任を表明するという意味ではありません。また、仮に裁判になったとしても、謝罪したことが裁判で不利な要素にはならないということも分かっているそうです。
 長谷部先生は法律家の立場から「医療事故調査制度の運用の実際と問題点」について講演いただきました。もともと医師としても現役で勤務されている先生で、医療の現場を熟知されている内容でした。特に私が共感したのは「そもそも医師は、生命身体を取り扱っているため、ミスをすれば身体に何らかの影響がある確率が高いのです。ヒューマンエラーは必ず起こるものだということを踏まえると、普通に仕事しているだけで逮捕される職業と言えます」。
 医師には応招義務があり、「医療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない(医師法19条)」と規定されていますから、医師は危険から逃げることができないのです。これでは医療現場が萎縮してもおかしくはないという現状を改めて考えさせられました。
 今回、医療事故調査制度に関して講演いただいたことで、現場での問題、制度の今後について意味深い会合であったと思います。また、両先生、参加いただいた方々に感謝申し上げます。