TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

障害者総合支援制度と医師意見書に関する説明会

府医ニュース

2016年2月3日 第2774号

平成27年度大阪府委託事業

 研修会は藤森次勝理事が座長を務め、最初に筒浦康正氏(大阪府福祉部障がい福祉室障がい福祉企画課長補佐)が「最近の障がい者制度の動向について」と題して講演。▽障害者福祉施策の経緯▽大阪府における障害福祉施策の現況▽障害支援区分認定▽最近の動向――に関して解説した。
 まず、障害者の数は年々増加しており、それに呼応して国の障害福祉サービス等も手厚くなっていると前置き。戦後から障害者総合支援法施行(25年4月)に至るまでの障害福祉施策を振り返った。その上で、同法の目的や趣旨・理念を説述。障害者の範囲に難病患者が追加され、現在、対象疾病は332に拡大されているとした。加えて28年4月より施行される障害者差別解消法に言及し、「大阪府障がい者差別解消ガイドライン」を紹介した。また、障害福祉サービスを利用する際に必要となる「障害支援区分」について詳説。障害の特性や心身の状態を総合的に示すとし、その支給決定プロセスには医師意見書が非常に重要になると訴え、更なる理解と協力を求めた。最後に、障害者総合支援法では、施行後3年をめどに見直しが予定されており、国からの情報を適切に共有したいと締めくくった。
 引き続き、中村芳昭氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員/中村医院長)が「医師意見書の書き方のポイントについて」として、特に「行動及び精神等の状態に関する意見」欄を解説した。まず、同欄の「行動上の障害」に記載されている 1.昼夜逆転 2.暴言 3.自傷 4.他害 5.支援への抵抗 6.徘徊 7.危険の認識が困難 8.不潔行為 9.異食 10.性的逸脱行動――を詳述。その上で、精神症状・能力障害の評価について段階ごとに事例を提示しつつ注意事項を伝えた。同様に「生活障害評価」「精神・神経症状」に関しても、自身の臨床経験を交えて説示。参考として、アルツハイマー病や統合失調症、うつ病などの疾患を取り上げ、診断基準や治療上の留意点を述べた。


大阪府障がい者差別解消ガイドライン(第1版)より抜粋
差別をなくすにはどうすればいいのでしょうか
大切なのは 理解し合うこと
そのために 対話すること
立ち止まらず 考えること
ではないでしょうか
ガイドラインはそのきっかけを提供するものです
障がい者への配慮のあるまちは
すべての人にとって暮らしやすいまちといえます
障がいを理由とする差別のない
共に生きる大阪の社会をめざして

中尾正俊副会長あいさつ
安心して暮らせる地域づくりを目指す

 障害保健福祉施策のひとつとして、平成25年4月に「障害者総合支援法」が施行された。難病等が障害者の範囲に追加され、現在332疾病が障害福祉サービス等の対象である。重度訪問介護や地域移行支援の対象拡大など、障害者の生活支援に向けた取り組みが進められている。
 生活を支える介護給付の支給決定に関しても、「障害程度区分」が「障害支援区分」へと改められ、知的・精神障害の特性や心身の状態を含め、総合的に反映されるようになった。区分認定では、医師意見書による情報が大切なので、本研修会を通じて適切な記載を修得してほしい。
 28年4月には、障害を理由とする差別の解消を推進するため、「障害者差別解消法」が施行される。府医としても法律の目的を尊重し、障害のある方や高齢者、あるいはその家族が住み慣れた地域で安心して暮らせる社会の実現に向け尽力する。そのためにも、「国民皆保険制度」の堅持、医療・保健・福祉の向上に一層の協力を願いたい。

障害支援区分における「医師意見書」の位置付け

 障害者総合支援法の対象となる障害者が、障害福祉サービスを利用するためには、障害支援区分の認定(以下「区分認定」という)を受ける必要がある。
 この区分認定は、市町村職員等による認定調査によって得られた情報および医師意見書に基づき、市町村等に設置されている保健・福祉の学識経験者から構成される「市町村審査会」において、全国一律の基準により公平・公正に行われる。
 障害者から申請を受けた市町村は、区分認定の流れの中で「医師の意見を聴くこと」とされており、申請者に主治医がいる場合には、主治医がその意見を記載することが定められている。
 医師意見書は、区分認定の過程で、市町村が一次判定(コンピュータ判定)を行う際および市町村審査会が二次判定を行う際に、「認定調査項目」「特記事項」とともに検討対象となる。
 市町村審査会では、医療関係者以外の委員も含まれ、その内容を理解した上で審査判定を行うことになっている。なるべく難解な専門用語を用いることを避け、平易で分かりやすい記載に努めて頂きたい。
 また、「医師意見書記載の手引き」については、大阪府のホームページ(下記)にも掲載されているので、参照願いたい。

○「医師意見書記載の手引き」 http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/jiritushien/index.html
○障害者総合支援法の対象拡大(332疾病)http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/jiritushien/index.html
(平成27年7月から障がい福祉サービス等の対象疾病〈難病等〉が拡大されている)

障害者総合支援法の対象が332疾病に拡大

 平成25年4月より、制度の谷間であった難病等の130疾病が障害福祉サービスの利用対象となった。あわせて、「難病の患者に対する医療等に関する法律」および「児童福祉法の一部を改正する法律」(いずれも平成27年1月1日施行)の成立に伴う指定難病・小児慢性特定疾病の対象疾病の検討を踏まえ、障害者総合支援法の対象となる疾病についても検討がなされた。
 以後、同サービス等の対象となる難病疾病は順次拡大され、27年7月には332疾病が対象となった。対象者は、障害者手帳を有していなくても、必要と認められた支援が受けられる。手続きには、対象疾病に罹患していることが分かる証明書(診断書など)を持参し、居住する市区町村の担当窓口にてサービスの利用申請が必要となる。