マイナンバーによる情報漏洩や管理医療化を懸念

府医ニュース 201244 2636

 

政府は2月14日、社会保障・税の共通番号の導入に向け、「マイナンバー法案」(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案)及び関連法案を閣議決定し、国会に提出した。古川元久国家戦略担当相は、社会保障・税番号制度の目的について「社会保障の仕組みを大きく変えて、真に手を差し伸べることが必要な人に、必要な社会保障給付を行うためのインフラ」と説明した。税や医療保険、雇用保険分野などで活用していく考えである。

 

 法案によれば、平成26年6月に市町村長が個人にマイナンバーを通知、国税庁長官が法人等に法人番号を指定の上、27年1月以降にICチップ付きカードを配布し可能な範囲で番号の利用を始める予定としている。利用範囲は、税、社会保障、防災の各分野から開始し、医療等の分野では、まずは医療保険者における手続きで利用することになっている。

 

 これに対し日本医師会は2月の定例記者会見で、プライバシー保護や個人情報漏洩問題、受診抑制等の管理医療への懸念などを指摘し、これらに対する十分な検討や懸念が払拭されない限り医療分野での番号の活用は認められないとした。

 

 個人情報保護について政府は、三条委員会型の第三者機関として個人番号情報保護委員会を内閣府に設置し、罰則の強化等により抑止力を向上するとしている。つまり、国家公安委員会や公正取引委員会などと同格の第三者委員会に位置付けることで、内閣府の外局でありながら一定の権限を持った独立した地位を与えられた組織とすることで監視を強化するものである。厚労省は今後、マイナンバー制度運用を視野に入れ、機密性や情報の特性に配慮した医療情報の取り扱いに関する特別法案作成に向けて議論を本格化させる予定であり、まずは、過去に「個人情報保護法」への対応を検討した「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」と「社会保障サブワーキンググループ」を合同開催することとしている。

 

 マイナンバー法案は、各種手続きの簡素化、利便性の向上には寄与すると考えられる。しかし、第三者機関による監視・監督、罰則規定を強化すると言うものの、個人情報漏洩の不安が完全に払拭されたわけではない。そして、何よりもレセプトオンライン化に続き、この法案が実現することで情報が一元化され、ナショナルデータベースとしての利活用が医療費の総額規制につながることを懸念する。国による管理医療の推進には明確に反対の意思を示さねばならない。