10月29日午後5時30分/大阪府医師会館
日本の医療を守るための総決起大会


趣旨説明 伯井俊明 大阪府地域医療推進協議会長(大阪府医師会長)

大阪府地域医療推進協議会長の大阪府医師会・伯井でございます。本協議会は、大阪府民の健康の増進と福祉の向上を目指し、昭和48年に組織され、現在30団体が加盟しています。医療や福祉の諸課題に対して、医療提供側と地域住民がともに手を取り合って進めようと、結成以来38年間にわたり活動してまいりました。

現在、国が推し進めようとしている「社会保障・税一体改革成案」には、消費税をはじめ十分に議論を尽くすべき課題がありますが、特に危惧するのは「受診時定額負担制度の導入」です。国は高額療養費の負担軽減を目的としていますが、それなら所要額を公費や保険料で賄うべきであり、健康弱者である患者に求めるべきではありません。

国の本当の目的は受診抑制です。国民皆保険制度の根幹にかかわる重大な問題であり、本協議会としても導入には断固反対します。

受診時定額負担制度の導入は、国民皆保険制度を骨抜きにし、やがて崩壊させてしまいます。国はまず、無駄を徹底的に見直し、我が身を削り知恵を絞って、国民に余計な負担を求めない方法を考えるべきです。安易に患者に負担を求めるのは本末転倒です。

東日本大震災や原発事故の復興に国を挙げて全力を尽くすべきこの時期に、患者に更なる負担を強いることが果たして許されるものでしょうか。野田佳彦政権が発足して約2カ月が経ちますが、社会保障の重要性を認識し、ぜひ政策の方向転換を図るべきです。

「社会保障・税一体改革成案」の問題点は、受診時定額負担制度ばかりではありません。現在、70歳から74歳までの患者負担割合は1割に据え置かれていますが、これを2割に引き上げようとしていますし、市販品類似薬を保険外とすることも検討課題となっています。更には、社会保障と税の共通番号制度の導入や医療の市場化を狙ったTPPへの参加や医療ツーリズムの推進など、本来、国民的な議論が十分になされなければならない問題が含まれています。政府は、平成24年の通常国会に関連法案の提出を検討していますが、このまま実行されてしまうと、日本の医療に深刻な影響を及ぼすことは必至です。

外国人の富裕層を対象に、観光と医療を組み合わせた医療ツーリズムは、人道的な国際医療貢献とは全く異なり、営利を目的とするものです。TPPに参加すると、医療分野での規制が不必要に緩和され、医療が営利の手段にされかねませんし、医療の質や医療安全の観点からも問題です。また、共通番号制についても、個人情報の問題ばかりでなく、社会保障の国家管理につながることが懸念されます。もっと慎重に議論されるべきです。

我が国は昭和36年に国民皆保険制度を達成しました。それ以来、誰もが、いつでも、どこでも、公平かつ平等に安心して医療サービスを受けることができました。しかし、政府が行おうとしている政策は、国民の命と健康を犠牲にするばかりか、日本の医療を荒廃させ、やがては社会保障の柱である国民皆保険制度をも崩壊させてしまいます。

東日本大震災への対応を優先すべき時に、間隙を突いて社会保障と消費税という、全く異質なものを一体的に考える政策は全く理解できません。消費税を引き上げる口実に社会保障を利用しているだけと感じているのは私だけでしょうか。

我々の先人達の非常な努力と英知により、国民皆保険制度が発足して50年を迎えました。この間に健康寿命は飛躍的に向上し、健康を平等に享受できることは国民にとって一番の喜びであり、安心となりました。この国民の思いを奪う政策には断固反対します。

公的負担を増やし、すべての国民が安心して、安全かつ質の高い医療を平等に受け続けられるよう、日本が世界に誇る国民皆保険制度を守るため、国民の声を政府に届けるべく決議案を提案しますので、ぜひともご賛同の上、採択をお願い申し上げます。

中央では医療関係団体で組織する国民医療推進協議会による、受診時定額負担導入反対の署名運動を全国的に展開中です。大阪府医師会も、郡市区等医師会をはじめ各種団体の協力の下、署名活動を行っておりますので、併せてお力添えをお願いする次第です。