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| 〔酒井会長〕 先生方もご承知のように、小泉首相が先頭に立つ医療改革は、反対派を抵抗勢力と呼んで、自民党や厚生労働省の反対にもかかわらずどんどん進められるような雰囲気です。それに対し、この秋にも日医が旗を振りまして、医療保険制度を守る集会を企画しておりますので、府医としても3千人規模の府民集会を開催する予定です。 そこで本日は、我々が最も警戒しなければならない混合診療について難波俊司・府医副会長にお話し頂きます。よろしくお願いします。 |
■ 規制緩和について
内閣府が規制改革の中で医療改革をトップに挙げる理由は、一番入りやすいからです。日医もそのことは敏感に察知し、混合診療の容認だけは絶対に阻止しなければならないと考えています。混合診療を認めるということはアリの一穴で、ひとつの小さな穴が開くことによって現在の医療制度が崩壊していく大きなキーポイントになります。
「小さな政府にする」という掛け声のもと、国はいろいろな規制緩和を始めました。その体制づくりのために経済財政諮問会議を設置し、新しい法律をつくりました。それが構造改革特別区域法の制定、関係法令・通知等の改正です。併せて、特区を中心に、地方・経済界から規制緩和の推進を図っていこうとしています(注1)。
この規制緩和の背景には、外国、殊にアメリカ、EUなどからの強い要求があります。経済界も、規制を外せば不況を乗り切ることが出来ると声を大きくしており、そのひとつとして特区の提案が出てきました。地方企業、中小企業、地方公共団体などからも特区の提案が多く出てきています。そこで、国では規制改革・民間開放推進3か年計画をつくると同時に、経済財政諮問会議で規制緩和を進めていこうという動きが出てきたわけです(注2)。
この規制緩和に向けた体制として、5つの会議をつくっています(注3)。 |
経済界の方は、主に経済財政諮問会議、規制改革・民間開放推進会議にメンバーを派遣しています(注4)。
規制改革・民間開放推進会議は、当面の重点検討事項を官製市場、つまり医療・介護・教育の開放に絞る方針です(注5)。この会議は、各省庁への資料の提出、意見の陳述、説明、その他必要な協力の請求権といった強い力を持っています(注6)。先日、この会議のメンバーと日医が意見交換会を行いましたが、このメンバーの方たちは「医療天道説、医師天道説だ、とても話にならない」ということを言い、各新聞も、意見交換会は平行線であったという書き方をしていました。主要検討課題は民間開放に関する「横断的手法」の構築、つまり縦割を横割にしようということです。また、官業の民間開放の推進や医療、福祉、教育といった主要な官製市場を改革していこうとしています。その中で出てくるのが混合診療であり、医療法人の経営方式の在り方、つまり株式会社による医療機関の経営です(注7)。
主な規制緩和としては、まず平成15年2月に株式会社の特区における医業経営参入を決めました。全国規模の規制緩和で先生方に身近なものとしては、広告規制の緩和、いわゆる専門医等々の表示が出来るようになったことがあります。また、高度先進医療制度における要件緩和や特定機能病院の要件緩和などがあります。更に、非医師によるAEDの使用も規制緩和のひとつで、昨日は関西空港の職員にAEDの講義を行ったということです(注8)。
規制緩和の狙いは、国民の生命・健康によって利益を上げるということです。そのために医薬品のコンビニ販売、非医師の医行為、労災保険の民営化、ヘルパーの医行為、労働者の派遣等を行います。規制緩和が、企業の利益の拡大とコストの削減に直結してくるということです(注9)。 |
■ 健康保険と混合診療
健康保険の医療は安全性と有効性が保障されています。逆に言うと、安全性が保障されていない薬は保険適用されません。また、健康保険の医療に関する価格は国が決定しています(注10)。
一方、混合診療とは、健康保険の範囲内の分は健康保険で賄い、範囲外の分を患者さんが医療機関に支払うことを示します。平等な医療を提供するために、範囲外の診療費を徴収することを禁止されていますので、範囲外の診療費を徴収する場合には健康保険が適用されず、全額自己負担となります(注11)。
アメニティーについては、例えば入院時の個室代、いわゆる差額ベッド代、診察の予約費は混合診療には当たりません。直接医療にかかわるものではないということで外されています(注12)。
わが国の保険給付システムは現物給付です。現物給付とは、診察、薬剤または治療材料、処置、手術、居宅療養における看護、入院療養における看護など、医療提供者が直接給付するものです(注13)。その代わりに医療提供者は保険者からその代金を受け取ります。ですから、患者さんを診察しても、医療提供者は患者さんから直接現金を受け取っているわけではありません。一部負担金は、本来は保険者が後で患者さんに返さなければならないものですが、それではなかなか機能しないということで、医療機関の窓口で受け取ることになっています。つまり、現物給付制度というのは、保険者が医療サービスを医療機関から買い上げて患者さんに給付する、必要なものはすべて現物で給付されるということです(注14)。
しかし、混合診療では、現物給付の上に現金を受け取ります。一部負担金とは違います。現金とは、例えば保険で認められていない薬剤あるいは治療法に対する報酬としてのものですから、患者さんに必要な医療のすべてを現物給付するシステムには反しています(注15)。
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