
TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年5月15日 第3072号
大阪府医師会は3月24日午後、大阪府医ニュース創刊3000号を記念し、矢井田 瞳スペシャルライブをクールジャパンパーク大阪WWホールで開催した。これは、新型コロナウイルス感染症対応に尽力された会員、会員医療機関の従事者、家族を慰労しようと1年をかけて企画したもの。矢井田さんの歌声に会場を訪れた約1千人が聴き入った。
本紙は1948(昭和23)年に創刊し、2022(令和4)年5月に創刊3000号を迎えた。コロナ禍での発刊で、記念号では、病院団体と茂松茂人・前大阪府医師会長による座談会を実施。コロナ禍以後も含めた医療について語り合った。
座談会の中では、医療従事者の尽力について語られており、感謝の意を示したいとの思いが形になった。
矢井田さんは豊中市出身のシンガーソングライターで、コロナ禍では医療従事者・エッセンシャルワーカーに向けた応援ソングもリリースしている。
大平真司理事の開会宣言で始まった。司会進行を務めたFM COCOLOのDJ・memeさんに促され、高井康之会長が登壇。開会あいさつでは、新型コロナウイルス感染症に敢然と立ち向かった医療従事者への感謝を述べた。また、3000号到達には「74年かかった」と言及。4000号、5000号を目指して発行を続けるとした。
一方、コロナへの警戒を怠らないよう呼びかけるとともに、感染症に対応可能な地域医療体制づくりに向け、府医としても尽力すると語った。
ライブでは8曲を熱唱した。矢井田さんの澄んだ歌声に合わせて手拍子が鳴り響いた。曲の合間にはエピソードも披露。〝Over The Distance〟は、過労で入院した際に病室の天井を見ながら制作したと明かし、医療従事者への感謝を口にした。
〝ウイスキーが、お好きでしょ〟の前には、医療関係者を前に言いにくいが「お酒が大好きだ」と語り、笑いを誘った。
自身の代表曲〝My Sweet Darlin'〟は、「医療関係者の皆さん、ほんまにいつもありがとうバージョン」と声を上げ、会場とともに盛り上がった。
閉会あいさつに立った阪本栄副会長は医師の働き方改革に触れ、「医療者の健康が府民の安全につながる」と言明。府医としても会員の福利厚生に注力したいと結んだ。
meme:新型コロナウイルスが国内で確認され、4年が経ちました。2020年には緊急事態宣言も。
矢井田:ちょうどデビュー20周年にあたり、いろいろ企画していましたが、できないことも多く、「フリーズ」してしまいました。医療従事者の方は本当に大変だったと思います。
meme:音楽業界も大変だったのでは。
矢井田:人との接触が難しく、ライブもレコーディングもできない状況でした。家で練習したり、曲を作ったり、とにかくすべてが止まらないよう心がけました。ライブ配信なども行い、遠方のファンとつながれたのは良かったです。
meme:コロナ禍で尽力された医療関係者に一言。
矢井田:生きていく、人生を豊かにする上で欠かせないのが医療です。皆さまの頑張りで日々暮らせています。いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
公演後、阪本栄副会長、大平真司理事が矢井田 瞳さんにインタビュー。音楽への思いやコロナ禍で尽力した医療関係者へのメッセージなどを聞いた。
阪本:本日はありがとうございました。観客も盛り上がって、大成功だったと思います。
大平:お集まりいただいた医療従事者も励みになったでしょう。
矢井田:ありがとうございました。
阪本:さっそくですが、矢井田さんが音楽を続けるにあたって大きな影響を与えた出来事などはありますか?
矢井田:東日本大震災が大きな転機でした。何をしたら良いかも分からず、まさにフリーズしました。生活基盤が整わない中でエンターテインメントは後回しみたいな。そんな状況の中でロックバンドHEATWAVEの山口洋さんが、〝MY LIFE IS MY MESSAGE〟というイベントを主宰され、声をかけていただきました。音楽の力で元気にできるんだと。嬉しかったですし、今でも協力させていただいています。
大平:新型コロナウイルス感染症のパンデミックで、音楽活動は変化しましたか。
矢井田:人との接触や外出が難しい状況でした。私は人と会うことでミラクルが起きると思っており、会えないことでとても寂しい思いをしました。ただ、音楽活動をすべて止めるのではなく曲を書くことや楽器の練習をしました。会えない時期があったからこそ、これまでの「当たり前」ができた時の喜びが大きかったです。
阪本:ライブ演奏ができない期間は、どのような取り組みをされていたのでしょうか。
矢井田:SNSでライブ配信を始めました。遠方で普段ならライブに来れない方も、配信なら参加できるといった方もいらっしゃり、新しい発見でした。
大平:オンライン会議も増えました。
矢井田:そうですね。オンラインの打ち合わせも多かったです。ライブ配信という形は今後も残ると思います。
阪本:音楽を通じて、新型コロナに関するメッセージを発信されておられましたね。
矢井田:閉じこもることで暗くなってほしくないと思っていました。おウチ時間を楽しんでもらいたいなと。『あなたのSTORY』という曲は、エッセンシャルワーカーの声を集め、私がまとめるということで作りました。大変な時期にもかかわらず、皆さん明るくて、前向きな曲を作ることができました。
大平:音楽が医療に与える影響については、どうお考えですか。
矢井田:私は疲れた時とかに好きな音楽を聴くとエネルギーが満ち溢れます。元気になって免疫力も高くなる気がしています。
阪本:私の病院でも音楽療法を取り入れています。高齢者には童謡の『ふるさと』が一番人気です。
大平:コロナ禍を経験し、医療関係者に伝えたいメッセージをお願いします。
矢井田:音楽は人の生死に直接関わるわけではないですが、音楽は心を豊かにしてくれます。希望を与える力があるとも思っています。一方で、医療は生きていく上で欠かせません。直接医療に携わられている医師、そしてその医師を支えられているすべての方に感謝しています。
阪本:医療に批判的な時期もありました。矢井田さんの言葉は本当に励みになると思います。本日はありがとうございました。