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第152回エイジレス健康講座

府医ニュース

2023年3月29日 第3031号

 大阪府医師会・ATCエイジレスセンター実行委員会が主催する「エイジレス健康講座」が1月21日午後、同センター(大阪市住之江区)で開催された。第152回となる今回は、「難聴と補聴器」をテーマに清水智之理事が講演した。当日は近隣住民など約40人が参加した。

難聴と補聴器について解説

 まず清水理事は、耳の構造や聞こえの仕組みについて説示。内耳で変換された電気信号は聴神経を通り脳の聴覚野に届くことで初めて音と認識されると述べた。その上で、主な難聴の症状として、「複数ある音を聞き分けにくくなる」「瞬時に音を理解することができなくなる」などを挙げ、①伝音難聴②感音難聴③混合性難聴――それぞれに解説を加えた。また、近年の研究では、難聴が脳の萎縮や神経細胞の働きに影響を及ぼすことが明らかになったとして、難聴が認知症の危険因子の一つであると指摘。難聴への早期対策で認知機能の低下を遅らせることができると示唆した。
 続いて、補聴器について説明。補聴器をつけることに抵抗感のある高齢者も多いとしつつも、現在では目立ちにくい補聴器も販売されていると紹介した。一方で、購入しやすい集音器は、医療機器ではなく、補聴器とは別物であるとして注意を呼びかけた。
 さらに、補聴器はその人に合った調整を行う必要があるため、認定補聴器専門店での購入を求めた。補聴器はつけるだけでなく、「聞く意識を持つ」「様々な音が聞こえることに慣れる」ことが必要であり、補聴器に慣れるまで3カ月程度かかるとし、試聴期間が長い店舗での購入を促した。
 最後に、加齢とともに難聴は進行していくため、耳鼻咽喉科の定期検診が重要であると強調。補聴器も定期的にメンテナンスを受けてほしいと語った。