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医師・医療関係者のみなさまへ

「家族計画・母体保護法指導者講習会」伝達講習会

府医ニュース

2023年3月29日 第3031号

出生前検査や人工妊娠中絶時の心のケア

 日本医師会・厚生労働省主催「令和4年度家族計画・母体保護法指導者講習会」の伝達講習会が2月2日午後、大阪府医師会館で開催された。本講習会では、昨年12月の日医指導者講習の伝達に加え、横井盛也氏(横井盛也法律事務所)による講演を実施。ウェブを併用し、会場とあわせて約400人が参加した。
 はじめに、高井康之会長があいさつ。母体保護法は、「指定」という行政行為が都道府県医師会に委譲された唯一の法律であると明言。医師会の責任は非常に重く、大阪産婦人科医会との連携・協力の下、指定医師の研修や啓発などを積極的に行っていると述べた。
 座長は光田信明氏(大阪産婦人科医会長)が務め、「心の問題を考える――その後のサポートへつなげるために」をテーマに、御前治氏(府医母体保護指定医審査委員会副委員長)と中村哲生氏(同委員会委員)が伝達講習。▽日本医学会の出生前検査認証制度の現状▽出生前検査をサポートする医療者の現状▽人工妊娠中絶を巡る心のケアと期待される支援体制▽中絶を含む周産期喪失の悲嘆ケアと支援体制――などを伝えた。

クレーム対策など講演

 続いて、横井氏が「問題のある患者や家族への対応」と題して講演。クレームは肉体的・精神的に大きなダメージを受け、診療にも悪影響を及ぼすと説示した。そのため、医療機関が組織として「暴言・暴力等から医療従事者を守る」という確固たる意志を持つことが大切と指摘した。また、医療現場で起こり得る犯罪への対処法や医事紛争の初期対応などを詳説した。
 最後に、笠原幹司理事が母体保護法を解説。人工妊娠中絶の同意を巡る問題を、具体的事例を挙げて説明し、適切な対応を呼びかけた。