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日医「赤ひげ大賞」表彰式

府医ニュース

2023年3月29日 第3031号

 日本医師会・産経新聞社が主催する第11回「赤ひげ大賞」表彰式が3月3日夕刻、パレスホテル東京で挙行された。同賞は「地域の医療現場で長年にわたり、健康を中心に地域住民の生活を支える医師にスポットを当てて顕彰すること」を目的に平成24年に創設されている。今回は、大阪府医師会が推薦した尾﨑眞理子医師(河内医師会)が、大阪では初となる大賞を受賞した。

長年にわたり地域住民支える医師を顕彰
府医推薦の尾﨑医師が大賞を受賞

 尾﨑氏は尾﨑医院で小児科医として30年にわたり地域医療に携わる一方で、子育て支援にも取り組んでいる。平成19年に私費を投じ子育て支援拠点事業として、つどいの広場「きらりっこ」を開設。翌年には病児保育施設「ウルル」を開き、地域の住民が安心して子育てができる環境整備の一翼を担う。令和4年度の日医最高優功賞受賞記念大阪府医師会長賞にも輝いている(本紙第3019号で既報)。
 3月3日の表彰式では、尾﨑氏をはじめ5人の大賞受賞者、15人の赤ひげ功労賞受賞者を祝した。はじめに主催者を代表して松本吉郎・日医会長があいさつ。大賞受賞者らを「現代の赤ひげ先生」と称し、さらなる活躍に期待を寄せた。また、超高齢社会の中では、かかりつけ医の役割が一層重要になるとし、その活動を支えられるよう日医として尽力していくと誓った。
 続いて祝辞を寄せた岸田文雄首相は、「赤ひげ大賞」が続くことで、地域の医師の励みになるとエールを送った。さらに、今国会で医療法改正案を審議し、地域住民が安心して医療を受けられる体制を構築すると述べた。新型コロナウイルス感染症に関しては、5類移行後も医療体制などは「段階を踏む」と言明し、平時の日本を取り戻す準備を進めていると語った。

選考経過報告および受賞者が喜びの声

 黒瀨巌・日医常任理事が今回の選考経過を報告した。4年6月1日に都道府県医師会に推薦を依頼し、選考委員が悩みながら、慎重に審査した経緯が明かされた。なお、今回は新たな視点として医学生が選考委員に加わったことを強調。赤ひげ大賞の取り組みが後進の育成にもつながるとの見方を示した。
 大賞受賞者には、松本・日医会長から表彰状と近藤哲司・産経新聞社代表取締役社長から副賞が授与された。5人の地域での取り組みを紹介するショートムービーが流れ、一人ひとりが感謝の言葉を述べた。尾﨑氏は自身の活動を振り返り、「少しは地域に貢献できたかな」と笑みを浮かべる一方、周知が十分ではなく、子育てに困っている世帯に情報が届いていないことを課題に挙げた。赤ひげ大賞受賞が契機となり、多くの人に施設の存在を知ってもらい、「子育てを楽しんでほしい」との思いを伝えた。そして、今後も小児医療に邁進すると力を込めた。
 閉会にあたり、近藤氏があいさつ。コロナ医療に最前線で関わった医療関係者らに敬意を表した。高齢者の健康を支えるのは医療とし、「赤ひげ大賞」が医師のモチベーション向上につながってほしいと結んだ。

4年ぶりのレセプション開催
受賞者が「未来の受賞者」らと笑顔で歓談

 表彰式後には4年ぶりにレセプションが開かれた。秋篠宮皇嗣同妃両殿下、加藤勝信・厚生労働大臣が受賞者らと歓談した。加藤大臣はあいさつの中で受賞者の取り組みを噛みしめしながら、これからは「治し支える医療」への転換が必要だと主張。今後も地域で活躍願いたいと期待を込めた。
 この日は、医学生と受賞者の質疑応答が設けられた。岩手・広島の医学生から「地域医療を担う上で一番のやりがいや地域医療でしか経験できないこと」「地域で活動することになったきっかけ」「辛かったことやその対処」などが問われ、ベテラン医師達は優しいまなざしで自身の「考え」を送った。