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医師・医療関係者のみなさまへ

第29回布施緩和ケア研修会

府医ニュース

2023年2月22日 第3028号

地域全体で緩和ケアを担う

 布施医師会(平松久典会長)は令和4年12月3日夕刻に第29回布施緩和ケア研修会をオンラインで開催。医師をはじめ、看護師など医療介護関係者256人が参加した。
 当日は、川邉正和氏(同医師会理事)と福村雄一氏(東大阪プロジェクト代表/司法書士)が司会進行を務めた。冒頭、平松会長があいさつ。緩和ケアは患者の数だけ形があるとして、本日の研修会で学びを深めてほしいと述べた。また、同医師会で導入した医療・介護連携ツール「ひかりワンチーム」を紹介し、活用に向けた協力を促した。
 研修会では、まず進藤喜予氏(市立東大阪医療センター緩和ケア内科部長)が「人生という物語を豊かに!――一面が両面に、そして多面性」と題して基調講演を行った。進藤氏は、自身が看取った患者との体験談を明かし、緩和ケアとは「尊厳のうちに最期を迎えることができるように支えること」と説示。人生の最期を迎える患者の世話は協働のなせる仕事であり、地域全体がホスピスになり、緩和ケアを担うことが重要であるとした。その上で、地域連携は一方的な情報の伝達だけでなく、相手の意見も聞き、情報・目的・価値観を共有し、助けを必要としている人を支えることであり、コミュニケーションが何よりも大切であると強調した。
 引き続き、村山真弓氏(めぐみ訪問看護ステーション管理者)が座長を務め、事例紹介・ディスカッションを展開。藤村真依氏(悠明会在宅医療センター悠/管理栄養士)、楊川雅弘氏(訪問看護ステーションありく布施/理学療法士)、小野牧子氏(すばる薬局/薬剤師)、米倉央氏(パンダ薬局/薬剤師)、中西敏子氏(看護小規模多機能型ケアホームみのり/看護師)より、それぞれの立場から患者や家族とのエピソードが語られた。ディスカッションでは、栄養士の介入時期や在宅看取りに関する質問が寄せられ、それぞれの講師が見解を示した。
 最後に柏井朗氏(同医師会副会長)が閉会あいさつ。患者の希望を叶えるだけが尊厳死ではないと言及し、緩和ケアに携わる医療介護関係者の一層の活躍に期待を寄せた。