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令和4年度 第3回 学校保健講習会

府医ニュース

2023年2月22日 第3028号

 令和4年度第3回「学校保健講習会」が4年12月14日午後、大阪府医師会館で行われた。会場とウェブの併用で実施され、学校医・養護教諭など約450人が聴講した。

リスクマネジメントの重要性伝える

 はじめに森口久子理事があいさつ。本研修会を会場とウェブの「ハイブリッド方式」で開いたことに触れ、コロナ禍だからこそ進んだ技術や方法を継続することも重要だと語った。また、4年3月に改訂した『学校における食物アレルギー対応ガイドライン』を紹介。府医と大阪府教育委員会が一体となって取り組めたことは意義深いとして、今後の学校保健の進展に期待を寄せた。
 当日は福田弥一郎氏(府医学校医部会副部会長・学校保健対策委員会委員長)が座長を務め、新田雅彦氏(大阪医科薬科大学小児科医療安全推進室長、特別職務担当教員准教授)が、「学校における怪我や病気のリスクマネジメントとクライシスマネジメント」と題して講演した。新田氏はまず、学校内での怪我は年齢が上がるにつれて、上下肢の骨折の頻度が高いと指摘。体育や部活動で発生しやすいとのデータを示し、注意を促した。特に頭頸部外傷は生命の危険や後遺障害のリスクが大きく、事故の発生を想定した上で体制を整えておくことが重要だと加えた。また、学校や保育施設での死亡事例にも言及。心停止は予測することが困難で、発生した際に速やかに心肺蘇生とAEDによる一次救命を行うことが最も大切だと訴えた。そして、適切な処置のためには、「日頃からのリスクマネジメントが必要」と強調。予防可能な子どもの死を防いでほしいと結んだ。
 次いで、亀田誠氏(大阪はびきの医療センター小児科主任部長)が、「学校における食物アレルギー対応ガイドライン」と題して講演。食物アレルギーの現状やガイドラインを解説した。冒頭、IgE依存性食物アレルギーは、▽即時型症状▽食物依存性運動誘発アナフィラキシー▽口腔アレルギー症候群――に分類されるとし、それぞれを説明。即時型では、鶏卵・牛乳が上位を占めるが、近年はクルミやアーモンドなど「木の実類のアレルギーが増加している」と述べた。引き続き、4年ぶりに改訂された『学校における食物アレルギー対応ガイドライン』を概説。修正点のポイントや学校生活管理指導表を記載する際の注意点などが示された。