拡大鏡

　◆監視と防犯は対義語のような、それとも類義語のような。実は監視、防犯に対義語はなく、類義語としても成り立たない。しかし、それぞれにカメラをつければ、見張るという意味では類義語になり、プライバシーや人権が係ると対比関係になる。
　◆昨今、殺人に及ぶ強盗事件が多発しているのを受け、防犯カメラ設置の需要が急増しているという。かつて街頭防犯カメラ設置に対してプライバシーの侵害と監視社会を警戒するマスコミの論調が蔓延っていたが、もはや今では治安のために不可欠との認識を持つ人がほとんどであろう。
　◆とはいえ、監視カメラとしての問題は常に世界中で起きている。中国ではウイグル人を監視カメラで自動的に特定追跡し、英国では情報漏洩や安全保障上の懸念から政府機関内での中国製監視カメラの使用を規制した。また、韓国では手術室に監視カメラ設置を義務付ける法案が可決されている。
　◆監視と防犯は表裏一体、人権侵害と治安はカメラの使用次第であるが、いずれにせよ物騒で窮屈な世の中である。（誠）