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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅医療における災害対策研修会

府医ニュース

2023年2月15日 第3027号

要配慮者を守るため災害への備えが重要

 大阪府医師会は令和4年11月26日午後、大阪府在宅医療総合支援事業の一環として、在宅医療における災害対策研修会を開催。府医会館およびウェブ視聴により実施され、約100人が参加した。

 冒頭、前川たかし理事があいさつ。我が国では大規模な震災や豪雨災害が度々発生していると指摘。災害医療においては、DMATやJMAT、災害拠点病院の設置、広域災害救急医療情報システムなど世界に誇れるシステムが発展してきた一方で、今後は災害関連死や地域包括型BCP(事業継続計画)が課題となると見通し、本研修会が災害発生時の在宅医療への一助になるよう期待を寄せた。
 引き続き、中田康城氏(堺市立総合医療センター副院長/堺DMAT統括者)が「在宅医療・介護現場における災害への備え」と題して講演。中田氏は、まず日本における災害の歴史を振り返りつつ、今後発生すると言われる南海トラフ巨大地震による被害想定を示した。その上で、ハザードマップの重要性を強調。上手く利用すれば災害発生時に住民は迅速に避難することができ、被害の軽減につながると述べ、生活圏や施設周辺のハザードマップを確認しておくよう呼びかけた。
 続いて、災害時に発生する傷病について説示。外傷や精神的ストレス、慢性疾患の増悪などを挙げ、医療資源が十分でない中での避難所や在宅避難者への医療提供について考えておくよう促した。その上で、▽災害・防災マニュアルの作成▽災害・避難・籠城訓練▽スタッフ教育、地域との協調▽行政との連携――が重要と語った。
 最後に、堺市医師会におけるICTの試みについて報告。医療連携に使用する「堺市地域医療情報ネットワークシステム」と多職種連携に使用する「いいともバイタルリンクシステム」のそれぞれが持つ情報を連携させることによって、入院から退院、在宅医療への移行まで包括的な支援の実現が可能であると力を込めた。