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医師・医療関係者のみなさまへ

後期高齢者のフレイルに関する医師向け研修会

府医ニュース

2023年2月1日 第3026号

市町村と医師会が連携を図り高齢者の介護予防に努める

 大阪府医師会では、令和3年度に引き続き、大阪府後期高齢者医療広域連合(以下、広域連合)からの委託事業として、「後期高齢者のフレイルに関する医師向け研修会」を開催した。

 2年度より各市町村において、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」(以下、一体的実施)が本格実施となった。一体的実施では、各市町村と郡市区等医師会およびかかりつけ医との連携が不可欠とされている。本研修会は、「後期高齢者医療健康診査を活用したフレイルの抽出基準等に関する検討委員会」で検討の上、効果的な一体的実施につなげることを目的に開催している。

3題の講演を実施

 研修会では、まず、宮田重樹氏(全国ストップザロコモ協議会副理事長/大阪臨床整形外科医会理事/宮田医院長)が、フレイル対策におけるかかりつけ医の役割の一つとして、運動指導について講演した。要介護の兆候に気付く方法としてロコモ度テストについて触れた後、ロコモから寝たきりへの流れについて説明。適切な運動がロコモ対策になるとして、「ロコトレ」を紹介し、具体的な指導方法について動画等を用いた詳細な解説があった。
 続いて、東真由美氏(大阪府後期高齢者医療広域連合給付課長)が、後期高齢者の健康状況や広域連合としての取り組みについて講演。骨折を防止するための転倒予防やオーラルフレイル対策の重要性を述べた。さらに、保健事業としての一体的実施について、具体的な支援内容などを説明。5年度までに、すべての市町村と一体的実施による連携を実現したいとした。
 楽木宏実氏(大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学教授)からは、フレイル予防のためのかかりつけ医の役割について見解が示された。フレイルとロコモの態様について概説したほか、「フレイル・ロコモ克服のための医学会宣言」の目的と取り組みを紹介した。また、かかりつけ医におけるフレイル対策について、「後期高齢者の質問票」を用いた評価や、市町村とかかりつけ医等との連携の重要性を指摘した。最後に、フレイル、ロコモ対策の重要な役割は、転倒予防による生活機能の維持にあり、フレイル予防には複合的な視点も必要と強調した。

研修会動画は府医HPで視聴可能

 研修会のDVDは郡市区等医師会および市町村担当部局に配布するほか、本会ホームページ「医師・医療関係者のみなさまへ→研修会動画・学習用資料」から視聴できる。なお、視聴にはIDおよびパスワードが必要であるため、視聴希望の場合は、府医地域医療1課(電話06―6763―7012)まで連絡いただきたい。