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時の話題

かかりつけ医機能の制度整備③

府医ニュース

2023年2月1日 第3026号

定義の法定化と機能報告制度の創設

 令和4年12月23日、厚生労働省の社会保障審議会・医療部会は、医療提供体制の改革案を大筋でまとめた。かかりつけ医機能が発揮される制度は、「報告制度の創設による機能の充実・強化」と「医療機能情報提供制度の拡充」の二本柱で構成する。この医療法の改正案は、次の通常国会で審議される。
 かかりつけ医の定義を「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う機能」と医療法に明記。2025年をめどに、個々の医療機関の機能を報告させる。
 医療法施行規則には、①外来医療の提供②休日・夜間の対応③入退院時の支援④在宅医療⑤介護サービス等との連携――の項目について、自院単独あるいは他院との連携で可能かどうか報告することを求める。報告を基に地域の場で協議の上で都道府県に報告され、第8次医療計画の中間見直しに反映される想定となっている。
 ②や④は24時間365日対応が求められるが、診療所単独では困難なため、複数の診療所とグループを作り、訪問看護ステーションとの連携を強化するなどの対策が必要である。在宅医療では急変時の後送病院の確保が重要で、かかりつけ医と民間の中小病院との連携が必要である。⑤では介護事業者との連携も必要となる。
 手挙げした個々の医療機関のかかりつけ医機能情報を、都道府県は分かりやすく住民に公表する「医療機関情報提供制度」を拡充する。それを参考に、かかりつけ医機能を希望した住民が、地域のかかりつけ医を適切に選択することができる。かかりつけ医は患者が希望すれば、かかりつけ医として提供する医療内容を書面で交付する案も浮上している。今回は、医師および患者双方の手挙げ方式となり、義務化や登録制度は見送られた。
 改正案は、慢性疾患の高齢者を対象に考えている。健康保険組合連合会の河本滋史専務理事は、「今回がゴールではなく、最終的には疾患や年齢は問わず、幅広い層が活用できる仕組みにすることが大切である」と主張している。
 かかりつけ医機能の契約を医療機関として行うのか、医師個人として行うのかは明確になっていない。診療所との契約は医療機関あるいは医師個人で大差ないが、中小病院では医師個人というよりも医療機関との契約になる可能性もある。かかりつけ医機能は、医師個人と患者との長年の信頼関係の上に成り立つものと考えられる。往診や訪問診療をせず、いつ転勤になるかもしれない勤務医はかかりつけ医機能の実行性は困難ではないかとも思える。むしろ、民間の中小病院は、診療所のかかりつけ医が在宅医療を行う上で、急変時の後送病院としての役割が大きいと私は考える。