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医師・医療関係者のみなさまへ

令和4年度第1回周産期医療研修会

府医ニュース

2022年7月6日 第3005号

新生児蘇生法アルゴリズムの改訂点などを解説

 大阪府医師会は5月21日午後、大阪産婦人科医会と共催で令和4年度第1回周産期医療研修会を開催。府医会館とウェブのハイブリッド形式で約130人が受講した。

 開会にあたり笠原幹司・府医理事があいさつ。周産期医療の様々な課題について最新の知見に触れ、理解を深めてほしいと語った。
 講演は2部構成で実施され、亀谷英輝氏(大阪府済生会吹田病院周産期センター長兼産婦人科統括部長)と荒堀仁美氏(大阪大学大学院医学系研究科小児科学助教)を座長に、細野茂春氏(自治医科大学附属さいたま医療センター周産期科新生児部門教授)が講師を務めた。

新生児蘇生法アルゴリズムの改訂を解説

 第1部では、「NCPR2020をどのように医療現場で生かしていくか」をテーマに実施。まず、新生児蘇生法(NCPR)アルゴリズム2020改訂コンセプトを説明。細野氏は、人工呼吸・胸骨圧迫に進む救命の流れが最も重要であると前置きし、遅延なき有効な人工呼吸が実践できる個人の技術に加え、ブリーフィングの重要性が明示されたことなどを挙げた。加えて、2020年版アルゴリズムの変更点を解説。現場で新生児蘇生を行う際の注意点を詳説した。
 次に、正期産児では高ビリルビン血症が危惧されるため胎盤血輸血は推奨しない方針であるとした。早産児(在胎28週以下)は、循環状態の早期安定化による頭蓋内出血の予防および未熟児早期貧血の予防のため、臍帯結紮切離後に単回ミルキングを推奨する考えを示した。また、蘇生時の診療録記載のポイントにも触れ、時刻・評価・介入を記載する必要性などを説いた。

乳児の位置的頭蓋変形の予防と対応

 第2部では、「乳児の位置的頭蓋変形の予防と対応」と題して講演。頭蓋変形が起きる因子として、▽胎位の異常▽多胎児▽早産児――などを列挙。予防方法として、生後数カ月は定期的に頭の向きを変えることやドーナツ枕の使用、タミータイム(うつぶせ練習)など寝かせ方の工夫を指摘した。
 また、ヘルメット装着による矯正も紹介。ヘルメット矯正療法は早期治療が望まれ、首がすわる生後3~4カ月が必要性を検討する時期にあたるとした。生後6カ月を経過すると頭囲発育の鈍化や子ども自身がヘルメットをはずす懸念があり、生後6カ月以内の治療開始が望ましいと締めくくった。