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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.93

府医ニュース

2022年7月6日 第3005号

都道府県別にみた新型コロナウイルス感染症の罹患率・死亡率・致命率  文 鈴木 隆一郎(大阪府庁)

 本紙第3002号(6月1日付)で、「新型コロナウイルス感染症について、人口当たりの感染者数および死亡者数ともに大阪府は都道府県で最悪」と書きました。「瞬間風速か」との疑問もあり、「まん延防止等重点措置」全面解除を機会に、コロナ禍発生以来の累積数で検討し、死亡率順位のワーストファイブとベストファイブを表示しました。間に都道府県合計を「全日本」として挟んでいます。
 ワーストは、我が大阪府でした。しかも数値が飛び抜けています。罹患率もワースト、致命率は第6位でしたが、総合して都道府県で最悪とされてもいたしかたのない結果です。
 他方、最良は島根県で、罹患率・死亡率・致命率すべてがベストです。大阪府の死亡率は島根県の39倍でした。両者を見比べて、島根県の保健師率がベストであるのに対して大阪府がブービーであることに気付かれると思います。保健師率とは、人口に対する就業保健師の存在割合で、この文章限りの造語です(医師率も同様)。島根県は大阪府の3倍強でした。一定の人口に対し就業保健師がたくさんいるほど、新規罹患者への対応が早くなり、感染の伝播を防ぎ、治療へ早く結びつけることができると考えます。
 余談ですが、日本列島の南北両端、沖縄県と北海道がワーストファイブに入っています。片や多くの離島、片や広大な地域、ともに困難な環境で苦戦されたと思いますが、沖縄県は高齢化率が最も低かったために致命率が低かったようです。