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教育「緊急事態」

府医ニュース

2022年7月6日 第3005号

 SNS上のタイムラインに上がってきた「罵声」と「怒号」は何と、大学の授業中のものであった。他の聴講者がスマホで録画した動画はネット上で拡散され、あっという間に300万回近い再生回数となっている。問題の学生は教室の最前列に陣取り、「おもろい授業してみろや!」「こいつはハゲだ!」「死ね!クソじじいが!」等と矢継ぎ早に教授に罵声を浴びせる。怒り心頭に達した教授も「(授業の)邪魔をするのなら出ていけ!」と応ずる。「最高学府」とは思えない事態である。
 さて「プロ教師の会」の主宰である河上亮一氏が「学校崩壊・現場からの報告」で、1980年代以降の小・中学校での学級崩壊・校内暴力の増加の背景として、教育現場への商業主義の浸食を挙げ、警鐘を鳴らしたが、2000年頃だったか、「行き着くところまで行かないと、もうどうにもならないのではないか?」といった諦念を、若者向け雑誌の対談上で述べておられたことを四半世紀ぶりに思い出し、氏の諦念が正しかったことを実感した。「授業料を、カネを払っているのだから、対価として面白い授業を受けて当然だ」という発想が行き着いた先は大学教育の、そして「知」の毀損であった。この国の「研究・教育」は極めて危うい状態にあるのではないだろうか?
(猫)