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第322回 府医定例代議員会を開催

府医ニュース

2022年7月6日 第3005号

山積する課題、執行部が一丸となり対応

 第322回大阪府医師会定例代議員会(岡原猛議長/定数273人)が6月23日午後、府医会館で開かれた。今回は会場とオンラインの併用で実施。府医代議員176人の出席の下、報告および協議が行われた。また、当面の医療問題が協議され、決議が採択された。

 はじめに、茂松茂人会長があいさつ。世界情勢は先行きが不透明で、我が国はスタグフレーションの状態だと憂慮した。ロシアによるウクライナ侵攻などを勘案すれば、安全保障の強化も重要であるが、一方で社会保障費の削減が懸念されると言及。国民のための医療提供体制を維持するには、参議院議員選挙の結果が大きく影響するとの見方を示した。また、新型コロナウイルス感染症に対しては、「楽観視できる状態ではない」とし、さらなる体制確保に向け協力を呼びかけた。
 そのほか、自身が出馬している日本医師会の役員選挙に触れ、「当選した際には組織の風通しを良くし、国民・医師から信頼される組織づくりを目指す」と抱負を語った。最後に、国難と言えるコロナ禍の中、大過なく3期務められたことは代議員・会員の協力の賜物だと謝意を表した。
 続いて、栗山隆信理事が代議員の異動を報告。その後、中尾正俊副会長が令和3年度に府医が取り組んだ事業を概説した。
 当日の議事では、①3年度府医決算②5年度府医会費賦課徴収③5年度府医新入会員に対する会館設備資金応益負担金の賦課徴収――が上程され、北村良夫理事が概要・趣旨を説明。決算では、当期の正味財産増減額は、4憶3925万1224円のプラスと報告した。その後、前久保邦昭監事が第1号議案は適正と言明。いずれの議案も挙手多数で承認された。

決議を採択

 協議では、「当面の医療問題について」として、栗山理事が決議案を読み上げ、6項目の決議案が大きな拍手で採択された。
 最後に、茂松会長が閉会あいさつ。かかりつけ医機能の制度化や医療DXなど、医療を取り巻く環境はますます厳しくなると懸念。新執行部が一致団結して難局に立ち向かうとして、より一層の支援を要請した。

茂松会長、日医副会長に当選
日医の信頼取り戻すと抱負

 本紙既報のとおり、日本医師会役員選挙に出馬していた茂松茂人・大阪府医師会長は、6月25日に開催された第151回日医定例代議員会において、副会長に選任・選定された。副会長選は定数3に対し、今村聡氏、角田徹氏、猪口雄二氏、茂松会長の4人が立候補。厳しい選挙戦となったが265票を獲得して茂松会長が当選を果たした。
 当選後の記者会見では、「信頼を取り戻すため、風通しを良くして開かれた医師会を目指す」と抱負を語った(詳細は次号で掲載予定)。

決 議

 新型コロナウイルスの感染拡大から2年が経過したが、感染の流行を繰り返している。第6波の感染者数は全国で1日10万人を超え、大阪では2月に15万人以上の新型コロナウイルス感染症患者に公費で診療を行った。
 ワクチン接種率の向上により、重症者数は減少しているものの、高齢者施設におけるクラスター対策は十分とは言えない。感染症に対応できる地域の中核病院と診療所の連携、往診体制への支援、強化が必要である。
 保健所の負担を軽減するために自宅療養、健康観察を医療機関が担うことは、本来2類相当の感染症対策としてあるべき姿ではない。これまで保健所の統廃合により、保健所機能を縮小させた政策は改めるべきである。
 令和4年度診療報酬改定において、中医協において十分議論することなく、診療を伴わずに処方が可能となるリフィル処方が導入された。療養管理上、問題が生じかねず、早急に廃止すべきである。
 また、初診からのオンライン診療が解禁されたが、医療は利便性を優先すべきではなく、医療の質と安全性を確保するため規制の強化が必要である。
 国民の命と健康を守るためには、国民が広く医療にアクセスできる体制を堅持し、有事と平時の医療体制を両立できる地域医療を構築する必要がある。医薬品の安定供給は国の責務であり、供給体制を確保し、国内製薬企業による新興感染症に対する創薬、ワクチン開発の支援を強化すべきである。
 社会保障を充実させるため、財源を確保し、全ての国民が安心して安全かつ質の高い医療を受けられるよう下記事項を要望する。
 世界においては、軍事力を背景としたロシアのウクライナへの侵攻により、一般市民を戦禍に巻き込み、尊い命が失われている。国際秩序を遵守しない領土拡大は断じて許されない。



一、高齢者施設におけるクラスター対策の強化
一、感染症に対する保健所機能を発揮できる体制の整備
一、療養管理上、問題が生じかねないリフィル処方の廃止
一、利便性を優先した初診からのオンライン診療の規制強化
一、医薬品の安定供給の確保と国内製薬企業による創薬、ワクチン開発の支援・強化
一、国民皆保険制度を守るための社会保障費の財源の確保

令和4年6月23日
一般社団法人大阪府医師会第322回(定例)代議員会