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医師・医療関係者のみなさまへ

第148回エイジレス健康講座

府医ニュース

2022年6月15日 第3003号

規則正しい生活で自律神経を整えよう

 大阪府医師会・ATCエイジレスセンター実行委員会が主催する「エイジレス健康講座」が5月21日午後、ATCエイジレスセンター(大阪市住之江区)で開かれた。新型コロナウイルス感染症の影響で2回続けて中止となっていたが、半年ぶりに対面形式で実施。新型コロナ対策の一環として設定している定員の上限に近い約30人が聴講した。
 第148回となる今回は、大阪精神科診療所協会から推薦された井手健太郎氏(セブンメンタルクリニック院長)が講師を務め、「自律神経のくせ」と題して講演した。はじめに、自律神経は交感神経と副交感神経に区分されるとし、それぞれの働きを解説。交感神経は「アクセル」、副交感神経は「ブレーキ」と例えバランスを保つことが重要だと述べた。
 次に、このバランスが崩れる要因として、不安やプレッシャーといった「こころのストレス」、不規則な食生活および環境変化など「からだのストレス」を指摘。頭痛・耳鳴り、不安感や集中力低下など心身に症状が出現すると加えた。その代表疾患として、▽パニック障害▽不眠症▽過敏性腸症候群――を挙げ、症状などを説明した。さらに、「自律神経の乱れは、神経細胞の減少に拍車がかかる」とし、アルツハイマーの危険因子になるとの見方を示した。
 一方で、自律神経を整える一助として、「副交感神経優位の生活」を推奨。ゆったりした呼吸やリラックスした状態など、副交感神経が優位な状態を詳説し、「意識的に取り入れる」ことが大切だと説いた。あわせて、消化器系を刺激することも役立つとし、水分補給や食事の重要性を強調。タンパク質や鉄分など不足しがちな栄養素はサプリメントなどで補給することも効果が高いと語った。
 最後に規則正しい生活を心がけ、副交感神経の働きを高めることが大事だと述べ、「自律神経のくせ」を直す習慣づくりを呼びかけた。