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将棋部だより

5月例会の成績 勝敗を分けた大局観

府医ニュース

2022年6月15日 第3003号

 5月15日に今年3回目の例会を、大阪市中央区谷町の大阪府社会福祉会館で開催した。涼しい日だった。
 ノーベル賞作家のソルジェニーツィンは、受賞当時のソ連の政治思想について、「人間から精神を奪うブラックホールだ」と断言した。独裁国家では、個人の主体性や尊厳が奪われると非難したのだった。我々はそんな思想を認めない。そして本業と将棋によって、生きる意味や喜びを感じるのである。
 参加者は9人だった。全員元気で、激しく戦いながら、容易に決着がつかない長期戦になる場合が多かった。勝敗を分けたのは、読みの正確性ではなく、大局観だった。
 トルストイは「戦争と平和」で、ロシア軍とナポレオン軍の戦いを、高空から俯瞰(ふかん)したように描き、戦況の推移を明確に叙述した。将棋においても、勝ちたいという欲望から離れて、局面全体を客観視し、どこが要所かを判断しなければならない。このような見方を大局観といい、攻めるか受けるかの方針を決定する際には、特に重要である。
 この日、濱田五段(東住吉区)はいつも通りの重厚な指し方をした上に、適切な大局観によって、優勢をさらに拡大しては確実に勝利し、全勝優勝を果たした。2位は3勝1敗の青谷三段(高槻市)、3位には2勝2敗の伊藤五段(野崎徳洲会病院/大東市)がなった。他の参加者は、手島七段(和泉市)、松村六段(池田病院/東大阪市)、東森五段(平野区)、佐野五段(豊中市)、山中五段(福島区)、準会員五段だった。
 「神は死んだ」とニーチェは主張した。絶対的な拠り所が無い時代に、我々は考えることを生き甲斐にする。棋道修行によって、根源的な不安を克服するのである。

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 手島愛雄(和泉市)